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9.25.2011

Joel Meyerowitz: Taking My Time ジョエル・マイロウィッツ Phaidon Press



Joel Meyerowitz(b.1938 New York)

1962年 アンリ・カルティエ・ブレッソンやロバートフランクに影響を受け、ストリートフォトグラファーとして始めます。のちに大型カメラとカラーフィルムを導入した撮影に70年代着手します。その成果が1979年 Cape Lightというケープコッドに取材した一冊の写真集になります。近年初期のストリートスナップ(カラー/モノクロ)も公開されるようになり、彼の仕事の集大成となる書籍がPhaidonから発売されます。

Joel Meyerowitz Photography, LLC
Joel Meyerowitz - iN-PUBLiC | The home of street photography
the guardian : the Format International Photography Festival - in pictures
ジョエル・マイロウィッツ(Joel Meyerowitz)プロフィール

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Frontline : Joel Meyerowitz Interview(9.11の後のグラウンドゼロの撮影についてのインタビュー)(PBS -Public Broadcasting Service アメリカの公共放送)
Phaidon : Joel Meyerowitz's World Trade Center Archive

「何があなたをグラウンドゼロに向かわせたのですか?」
何か役に立つことをしようとすることが大事だった。だからといって2.3日後に何かすることは門が閉じられたいたこともあって出来なかった。写真撮影は許されていなくて、またその重要性に管理者が気づいていなかった。ニューヨーク市美術館に電話して、レター(許可)を得るのに尽力した。警察にそれを見せて9月23日からあそこに入った。

第一印象は、落下物の激しいカオス。見たことの無い迫り来るいくつもの瓦礫が重なっていて現代の大惨事だった。最初のタワーを通り過ぎたときに、身震いを感じなくなるには1日もかからなかった。喪失感と、冷酷さと入り混じった気持ちでいた。

「亡くなった方たちと繋がりを感じましたか?」
5ヶ月間落ち着いて眠ることが出来なかった。何度もあの場所にいることで、どのように亡くなったかそんな共感を通してつながっていたと思う。

「どのように撮影を進め、どんな影響を与えたか語ってもらえますか」
この残骸、アフターマス(災害の後の状態)をヴューカメラで精緻に記録することで未来に伝える記録を残すことが大事だと初めの段階から悟った。将来これらの写真を見た人が芸術作品ではなく、ひとつの歴史として、ここで何があったのか、この現場で瓦礫を目前にしたかのように。そのために自分がカメラであるかのように無感覚で冷静に。見たものは全て未来の人の為に撮影した。

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かいつまんでこここまで訳しながら書き写しましたが、他には撮影されたものについて、Evil(悪)について(悪の存在を信じるか)、神はあなたにとってどんな意味を持つか、美と恐ろしいものとのせめぎあい、また神の存在をそこにみたかなど、アメリカらしい質問が続きます。彼自身は、目の前の惨状に圧倒されつつも、写真家として冷静に記録を残そうと夢中だった様子がインタビューから伝わってきます。


上の動画は彼のストリートスナップの様子を伝えるもの。終始周りの状況を見て、常に撮影している写真家の姿です。

Amazon.co.jp : Joel Meyerowitz: Taking My Time
Cape Light: Color Photographs - A New Expanded Edition
Japan 1945: A U.s. Marine's Photographs from Ground Zero
日本の写真家〈23〉山端庸介
New York September 11

5.21.2011

Lee Friedlander MoMA リーフリードランダー 写真集 Friedlander Peter Galassi

(C)Museum of Modern Art

ロバートフランクが放ったアメリカ写真への大きな影響から、60年代以降ウィノグランドなどとともに各々の写真を発展させ、写真でやれることの可能性を拡げたLee Friedlander (b.1934 Aberdeen, Washinton)

2005年の初夏MoMAで開催されたPeter Galassi(ピーターガラシ)がキュレーションした 回顧展のカタログ。
6点のカラー写真(ジャズミュージシャンのポートレート)477点の白黒写真と元々多作な写真家であることからも回顧展は大規模なものになったようです。同年 Hasselblad International Award 賞を受賞。今も手に入れることが出来る展覧会のカタログ は、480ページ4センチ弱の厚さ。彼の作品が時系列、テーマ順に並べられシンプルに構成されています。印刷もこの価格にしてはなかなか美しいものです。



1960年代初期の作品には、ロバートフランクの影響が見えます。これらも素晴らしいのですが、彼の魅力はその自分が撮った写真の中にある要素(線、影、記念碑、写り込み etc..)を発見し、それが後に独立したプロジェクトとして撮影されシリーズとなっていっているという貪欲に循環していくプロセス。ピーターガラシによる前書きのタイトル "You have to change to stay the same" (同じでいるために変わらなければならない)が一言で実によく言い表しています。

一見なんの関係ももたない多種多様な被写体をテーマにしているかのようでいて、彼の写真を構成する要素だけを取り出してみてみると、あるいくつかの性質がシリーズを横断していることがわかります。「立体の平面化(2次元化)」- 例えば近くにある道路標識と背景にある空の雲が写真の上で関係性をもっているかのように平面化されている写真 外+車のミラー+車の中 距離の圧縮 またゆがみ
「直線の繰り返し」- 山や草、金網、労働者の使う機器のホース、窓、建物の壁など
「写り込みによるトリプル、ダブルイメージ」(*彼以前、写真の中に自分自身の影や窓への写り込みは写真のフレームから排除するものだった。)

850カットの写真が収録。一時期絶版になっていましたが、最近また私が買ったときより安くで出回っています。フリードランダーは"Self Portrait"のシリーズが有名ですが、それは彼の写真のほんの一部の側面に過ぎないことがよくわかります。

Masters of Photography: Lee Friedlander
Fraenkel Gallery : Lee Friedlander
James Kelly Contemporary
MoCP : Lee Friedlander
art-photo site:リー・フリードランダー(Lee Friedlander)プロフィール
ICANOF:リー・フリードランダーの写真(写真家の金村修氏の鋭いフリードランダー評)

Amazon.co,jp : Friedlander
Arrivals & Departures: The Airport Pictures of Garry Winogrand
Walker Evans: The Hungry Eye

1.14.2010

Josef Koudelka ジョセフ・クーデルカ Invasion Prague 1968 プラハ侵攻

(C)Aperture

ジョセフ・クーデルカ(チェコスロバキア b.1938)の新刊。

東京都写真美術館での展覧会にあわせて平凡社版「ジョセフ・クーデルカ プラハ侵攻 1968」が発売されました。海外で刷られたヴァージョンと同じ体裁のペーパーバック。クーデルカ自身にとって、また世界史にとって重要な”プラハ侵攻”の写真が収録されています。

(C)Phaidon/Delpire

Gypsies””Exiles ”が彼の代表作ですがいずれも絶版。この" Invasion Prague 1968"と、ボスニア紛争の地で撮影された横長大判の迫力ある写真集 Chaos はまだ入手可能。これもいい本です。ちなみに"Chaos"には、テオ・アンゲロプロスのユリシーズの瞳(TO VLEMMA TOU ODYSSEA)にもでてくるレーニン像が船に横たえられ運ばれる写真も収録されています。



*その後クーデルカの伝説の処女作が再版予定! Koudelka Gypsies
マグナム フォトス:ジョセフ・クーデルカ Josef Koudelka
Josef Koudelka's Melancholy Visions Of Gypsy Life - New York Times

Amazon.co.jp : Chaos
ジョセフ・クーデルカ プラハ侵攻 1968
Josef Koudelka: Exiles
Koudelka Gypsies
Josef Koudelka (Fototorst)

11.29.2009

Bruce Davidson ブルースデビッドソン Outside Inside (Steidl)

(C)Steidl

ドイツの出版社Steidlから、ブルース・デビッドソン(B.1933)の3冊セット合計800点もの写真が掲載された決定版の写真集”Bruce Davidson: Outside Inside/Journey of Consciousness”が発売。

(C)Steidl/Aperture

また代表作のひとつ"Subway"が2011年9月にAperture/Steidlから再版。これは買った写真集の中でも久々の快作。星5つ。

出版社のサイトから写真集の中身が少し見られます。
Steidl : Outside Inside/Journey of Consciousness(Bruce Davidson)
Steidl : Subway by Bruce Davidson

Amazon.co.jp : Bruce Davidson: Outside Inside :Journey of Consciousness
Bruce Davidson: Subway

本の装丁好きにお勧め Lee Friedlander(リー・フリードランダー) New Mexicoの使ってる紙がいい

(C)Radius Books

アメリカのロバートフランクの影響を受け、その後ウィノグランドとともにアメリカのコンテンポラリー写真を60年代牽引したうちの一人、リー・フリードランダー(B.1934)。

彼の"New Mexico"は展覧会に際して作られたカタログということだが、写真においてカタログというのは写真以外のアート(絵画、立体造形などなど)のカタログと意味あいが大きく異なって、写真集に収録されないながらもそのカタログ自体が独立した一そろいのシリーズとして発表されるので非常に作りこまれたものが多い。

Photo Central:Lee Friedlander - New Mexico
5B4-Lee Friedlander:New Mexico

今回取り上げたこの"New Mexico"は本のサイズがほぼ30センチX30センチ。スクエアのフリードランダーの旅の道中で撮られたモノクロームの写真。そして特質すべきがこの写真集に使われている紙がいい。白色度がやや低い紙でややマットにも見えるが彼の線をイメージとして多用されたモノクロの写真の線の切れが素晴らしい。装丁も含めた質の高い写真集好きにお勧めです。

Lee Friedlander: New Mexico



彼のアンソロジーとして”はじめの”一冊書籍をあげるとするとご存知の方も多いと思うMoMAが作った500点もの図録が収められている分厚い写真集"Friedlander"がお勧め。