93年から97年まで デュッセルドルフ美術アカデミーでベッヒャーから学んだオーストリア人の写真家で、現在デュッセルドルフに在住。 それぞれのシリーズの中で、様々な車や森、建物の形態やそれらが周囲の環境との中でどのように存在しているのか状況を捉えた作品だが、それらは見慣れた手法で特に興味をもたなかったが、ポートレートだけは、縦位置で、被写体はカメラに目線を向け見飽きたスタイルにもかかわらず、この写真家によるポートレートは「私には」 とても(控えめにいって平均的なものよりは非常に強く) 魅力のあるものだった。
魅了するポートレートとはいったいどういう条件をもったものなのか、例えばいつもAugust Sanderの「三人の農夫」を頭に浮かべて考えてみるが、何度やっても自身が納得できる答えに行き着いたことがない。被写体の顔や服装、持っているもの、被写体を照らす光、絞りの効果による人物と背景の見え方。それぞれが気に入る写真、それは言うまでもなく100パーセント好みの問題なのだが、名作とされるポートレートは比較的多くの人が好意的に捉えるから名作となるという、それだけの理由なのだろうか。
ちなみにこのBernhard Fuchsによるポートレートは、Sanderのようにあらゆる階層や職業を網羅したものでもなく、Diane Arbusのように社会の周縁にいる巨人や、トランスジェンダーなどマージナルな人物を撮ったものでもなく、写真家が生まれ育った村の人物を撮影したもので、そういう意味でまったく特別なものではなくあまりにも平凡で拍子抜けしたのだが、いずれにしても被写体の選択と、写真家との関係はポートレートにおいて何より重要な要素である。
自分が気に入った人物ポートレート作品の良さの正体は一体どういうものかわからない限り、人に伝えることも不可能だが、私自身の好みと反応するなんらかのコードは写真のイメージ上に目に見える形でで埋め込まれているはずである。
Bernhard Fuchs - Wikipedia, the free encyclopedia
Bernhard Fuchs
photo-eye Bookstore | Bernhard Fuchs: Portrait - Photographs | photobook
Bernhard Fuchs - Höfe on Vimeo
以下リンクに関連する興味深い対談があったのでここに追加しておく。
HILLSIDE TERRACE Photo Fair - Talk Session 004
2014年9月6日(土)13:30 – 15:00
Beat Streuli(写真家)×倉石信乃(写真評論家/詩人)
Amazon.co.jp : Bernhard Fuchs: Portrait - Photographs
August Sander: People of the 20th Century