オーストリアのAlbertina スイスの Fotomuseum Winterthur パリのLe Bal アメリカ シカゴのArt Institute of Chicago を巡回する日本の60年代後半の同人誌 "Provoke" を中心とした回顧展が開催。カタログはSteidlから600ページ以上という厚さで出版される。
Provokeについて海外での発見、再認識と評価について振り返ると、2003年のパリのFondation Cartier pour l'art contemporainの森山大道展 このころにはまだアメリカにおいては石元泰博氏、細江英公氏、杉本博司氏など限定的に日本人の写真家について認識されていた。その後アメリカのギャラリーや美術館も日本の70年代近辺の日本の芸術活動について注目しはじめ、具体や、もの派についての興味を深め、作品の収集を活発化させた。2011年にリー・ウーハン氏のグッゲンハイム美術館での個展。2013年の具体展 Gutai: Splendid Playground 2015年のヒューストンの For a New World to Come イギリスでは写真の収集に力を入れ始めた 2012年のTate Modernでの William Klein + Daido Moriyama が大きな出来事だ。
特に日本の写真市場の状況について、プリントが取引される文化がなく(アメリカでも70年代にはなくプリントが取引されるのはわりと近年になってからのことだが)写真家はカメラ毎日など雑誌への寄稿により生計をたてたようで家が裕福な写真家でない限りかなり苦労したようだが、一方でプリントを売ることを考えなくともいい分、作家の自由意思により実験的な表現が育まれるという副産物となった。
Provoke 関連の作品についても海外の美術館、コレクターによりずいぶん収集され、美術館に収蔵、論文が書かれ、研究が進み、一通り終わったことでこのような回顧展がようやく実現した。
写真と同じ複製芸術である版画、浮世絵が海外の美術館に良い状態で収蔵されていることを思う。
SFMoMAのSandra Phillipsの講演会 ”How the US Discovered Japanese Photography ”がアメリカが日本の写真に出会って発見した経緯について話しているのが興味深い。
Amazon.co.jp : Provoke: Between Protest and Performance: Photography in Japan 1960/1975