突然の値下げ。4Kにこだわらなければ、必要なければ買ってもいいと思うが、デジタル環境になって常に最新のものがよかったり、機材の導入のタイミングが難しい。オフィシャルページでも295ドル Black Magic Pocket Cinema Camera の件(一時的な投売りセール。現在は元の価格)もあるしなぁ.. ヨドバシでは既に販売中止なので在庫を掃けるつもりだと思う。海外の撮影機材メーカーの思い切りのよさ。それで売っても利益がでるんだろうから、ユニークな商品を作っているのは強い。
迷うところが、Blackmagic Video Assist はキヤノンのデジタル一眼のバッテリー LP-E6を使い、記録メディアがSDカード、1920 x 1080モニターであるのに対して、Atomosの方はHDD/SSDで長尺の記録が可能だが、バッテリーはソニーのビデオカメラ用のバッテリーを使用し、モニターが1280x720 となっていて、キヤノンの5D系を使っているのであればこれから発売されるBlackmagicを待ってもいいのかもしれない。
アメリカのアーティスト/写真家 ルイス・ボルツの展覧会が六本木のコマーシャルギャラリーで開催。10月17日まで。また代官山ヒルサイドテラスで開催されるアートフォトフェア(展示会)で横溝静氏とルイス・ボルツが出展される模様 (1点のみだった..)。日本でプリントを見る(購入できる)ことができる貴重な機会。 WAKO WORKS OF ART ワコウ・ワークス・オブ・アート daikanyama photo fair 2015 | WAKO WORKS OF ART
オランダのコンセプチュアルアーティスト。ひたすら泣いているアーティスト本人の映像作品 "I'm too sad to tell you" や屋根や運河に落ちる "fall"など、理由も示されずに純粋にある「悲しみ」を表した作品が生涯を占める。最後の未完の作品 "In Search of the Miraculous" は小型の船に乗って単独でアメリカからイギリスに渡るものだったが、航海の最中に行方がわからないまま船だけがアイルランドで発見された。活発にアートマーケットで作品が売買されたり、伝説として語られるようなアーティストではないのだが、活動していた痕跡がオンライン上でも見つけることが出来る。
このブログに幾度となくアレック・ソスについて、(細切れのメモを書いてきた。それぞれのシリーズ(Sleeping by the Mississippi, Niagara, Broken Manualetc.. )一冊の写真集をみれば、それぞれのテーマがわかるのだが、では写真家がその人生において、何を鑑賞者に伝えようとしているかは、それら作品の蓄積があって、遍歴を辿ることで初めて輪郭が現れでてくる。これが同時代に生きて現在進行形で制作する写真家を見ることの楽しみである。 暗室技師をするなどして生計を立てていたアレック・ソスは奨学金を得て、ようやく自分の作品制作を行うことが可能になり3ヶ月の旅をして (複数の写真家を収録した企画の写真集を除いて)初めての写真集 Sleeping by the Mississippi (Steidl 2004)を形にする。この写真は広い注目を集め高い評価を得た。
Sleeping by the Mississippi" はアメリカ人にとって特別な意味をもつミシシッピー川沿いを旅しながら写真を撮り、出来上がったものは同時にアメリカ写真の源流を遡る旅にもなっている。実際写真に被写体として後ろ姿が写っている William Eggleston や、Mitch EpsteinやJoel Sternfeldを想起させる写真、直接的ではないが、それらはアメリカ写真のモダニズム、Walker Evans にも行き着く。 「一枚の写真は誰でも撮れる、本当に素晴らしい写真集として形になったものは偉業となる」とインタビューで述べているように、複数の写真をセレクトし編集することで、それらに物語を語らせることに意義をみいだし、さらに自身の出版社Little Brown Mushroom をベースに写真集の活発な出版活動を行い、現代の写真家の中でもっとも注目を集めるうちの一人となった。
キャリア序盤での作品の質や知名度が充実したものとなり、2010年、地元ミネアポリスのWalker Art Centerでそれまでの活動を回顧する大規模な展示が開催された。またドキュメンタリ映画が作られるなどして、ますますメディアで頻繁に取り上げられよく目にされる人気者となった一方、作品 Broken Manual では 文明との関わりを絶って生活するアメリカの”世捨て人”を 取材しそのようなアメリカにおいての生き方に関心ももって活動している。
上の動画で述べられている最新作の”Songbook”では二年間かけて、アメリカ合衆国ならではの生活や文化、そういった地域の生活は消えつつあるそうだが、それらを元々自身も仕事としてやっていた地方紙の報道写真のように、フラッシュストロボを使ってモノクロで淡々と写真に収めたものだ。その写真はアレック・ソスにとって写真家として処女作となる最初期の作品 "Looking For Love" に似ていて、自身のルーツに大きな一周を経てまた辿り着いた。同じ点にたどり着いたとしても一周を経てたどり着いた自身のルーツは、より示唆に富み豊かな作品になっている。 彼の写真にみられる(翻訳しにくいが)「アメリカ性」(アメリカらしさ,アメリカという態)に加えてBroken Manual, Songbookを通して得られた、「人間と人間の間にあるもの、社会と人間の間にあるもの、断絶と切実に自分以外の誰かを求める気持ち」といったテーマを手にして、今後の作品が楽しみになってきたところである。
ロンドンで写真と写真集の展覧会に際して作られたカタログが”Gathered Leaves”でこれまでだした四冊の本を小型化した複製版である。もともと美術に興味があった彼らしく、デュシャンの持ち運び可能の複製セット"Box in a Valise"を連想させるものである。
"‘This uncanny is in reality nothing new or alien, but something which is familiar and old-established in the mind and which has become alienated from it only through the process of repression ... The uncanny [is] something which ought to have remained hidden but has come to light.’ Sigmund Freud" (不気味なものは、真新しいものではなく、また、現実からかけ離れたところにあるのではなく、馴染みのあるもので、以前から頭の中にあるもので、それが抑圧されることによって表に顕れる。不気味なものは隠れたままでいなくてはならないが、明るみにでるものである。拙訳)
日本の志賀理江子氏と近いムードのあるチェコ出身の写真家。哲学者のバタイユや、心理学者のフロイトなどを参照をしているそうだ。写真が発明された黎明期に不可視な妖精や霊魂などスピリチュアルなものを誰の目にでも見ることができるように作られた写真を連想するが、現代にあってこのようなダークな幻想を扱った写真で構成しているのに目を惹いた。チェコの写真作品は以前からシュールで実験的なものがみられ、この写真家の作品にもそのような伝統がみられる。ロンドンであった展示 The Absence of Myth(神話の不在)は物足りない気もするが今後どのようになっていくのかが楽しみ。
Tereza Zelenkova - M̲elt Tereza Zelenkova: Darker reality | Dazed Tereza Zelenkova: Freud's dream photographer | Art and design | The Guardian
ダニーライアンが60年代にテキサスの刑務所を取材し、重罪で服役する囚人を取材したものだが、写真が撮られた背景や文脈(ある説によるとダニーライアンにとって囚人たちをチャンスがなかったものの良い人間であるとみていたそう -Art - Danny Lyon, Stubbornly Practicing His Principles of Photography - NYTimes.com)とは関係なく、特に上の写真は人間存在についてなにか映像のみが指し示すことができるある曖昧な概念を想起させる。写真に写ったものが現実の風景でありながらも、言葉よりは情報を欠くため逆に写真は抽象的なことを指し示す能力を発揮することが稀にある。山の斜面を見上げているようでも、見下ろしているようにも見えるが、黒い背景に浮かぶ白い衣装をきて作業をする人々。
この上の写真はJohn Szarkowskiがキュレーションした1978年の"Mirrors and Windows"展でも取り上げられている。
77年生まれ、ルーマニアの画家/アーティスト。フランシス・ベーコンを連想した。(サイズの小さいもの中心だったが)多少の数のボレマンスをみて、James Castleもみることができて、満足だが、今度はこの人の作品をみてみたい。Pace Galleryで結構展示やっているようだが、ヴェネチアビエンナーレのルーマニア館でも展示していて絵画の中では気になっている。 Pace Gallery - Adrian Ghenie Adrian Ghenie - Artists - Nicodim Gallery Pace Gallery - "Golems" - Adrian Ghenie
わ、こんな機会を思ってもみなかったJames Charles Castleの作品の展示が、清澄から北参道に移転した小山登美夫ギャラリーにて。作品リストをみると、食品などのパッケージの箱の裏に描かれたことがわかる。本展では室内や風景の絵画、また立体の工作品が一点展示されていた。ドローイングに欲しいものがあったが、さすがに物故作家で、職業作家ではないので市場に作品も出回っていないので価格をきくのもやめておいた。