ベルリン(Hamburger Bahnhof美術館そば)を拠点にし、2010年よりロサンジェルスにも元家具倉庫だった大きなスタジオをもち制作、現在ハンブルグで教壇に立つ。Fritz Schwegler からスカルプチャー(立体造形)を学び、1993年からはインターネットや新聞などに掲載された写真を元にし、過去に存在した場所や室内に似せて原寸大で制作した紙の模型を記録するのに写真を用い始める。制作した紙の模型は展示せず写真撮影を終えるとそれを壊して、写真だけを展示する。(Wikipediaより)
近美で開催された展覧会「ドイツ写真の現在」で作品を見たことはあるのだが理解の仕方が十分とは思えず、東京都現代美術館で5月に開催される展示を前に折角の機会なのでもう一度ネットで見ることのできるソースを中心にみていきたいと思う。なお、熱心に検索したのだが(オンライン上だからなのか)日本語での踏み込んだ記事はとても少なく英語の評論、解説の記事が中心となった。
テキスト・画像(日本語)
another field: Thomas Demand (評論)
ARTiT : トーマス・デマンド 死刑台のエレベーター by Judy Annear
C'est pas moi : 生デマンドから真摯な制作方法を聴くことができた。
Esquire : みんな、どうやって書架を「編集」しているのだろう?あの人の本棚探索。(4)
日本での展示・プロジェクト
Thomas DEMAND 6/27 - 7/26, 2003(日本で初めての個展)
東京国立近代美術館:ドイツ写真の現在 ― かわりゆく「現実」と ...(2005年)
Thomas Demand 11月10日 ~ 12月 8日, 2007
CCA : トマス・デマンド 黒ラベル (2009) ISBN 4-901387-38-3 CCA Artists' Book Series
テキスト・画像(英語)*** お勧め
Thomas Demand - Wikipedia, the free encyclopedia
The 6th floor : A Sneak Peek at Thomas Demand’s Storm-Tossed Imagination (Pacific Sunについて)
After the Imperial Presidency (NYタイムスマガジンのコミッションワーク)
Thomas Demand - today and tomorrow(画像)
Sprueth Magers :: Artists :: Thomas Demand(画像)
Thomas Demand: Tunnel - Ubu (故ダイアナ妃が亡くなったトンネルを走り抜けるドライバー目線の動画)
Art Blart : Exhibition: ‘Thomas Demand in Berlin’ at the Neue Nationalgalerie, Berlin(画像)
*** Thomas Demand, Fondation Cartier (Paris) « Caruso St John ...(カルティエ財団での展示)
*** Thomas Demand, Nationalgalerie (Nationalgalerieでの展示)
Thomas Demand The Dailies - MACK(書籍)
Nationalgalerie - Steidl(書籍)
photo-eye Bookstore | Thomas Demand: Thomas Demand | photo ...(書籍)
*** Thomas Demand creates achingly familiar space... 2010年の 建築雑誌 MARKの記事(PDF)
(彼の作品を見た人が発する‘Say what?’(で?) Office (1995)を例にとって、"What is this?” I say, “I don't think I need to tell you.”作家自身と、作家以外(鑑賞者)とのあいまいで静かなゲーム。)
*** Portrait of the artist: Thomas Demand | Art and design | The Guardian
(短いQ&A - 父もアーティスト、叔父は建築家など芸術家になることしか考えていなかった。LAでの生活を楽しんでいる。尊敬するのはエドルシェとリヒター。言われて嫌なことは、いつも同じ作品ということ、彼らはわかっていない。ドイツのことわざに"always keep the ball low"というのがあって、それは自分の焦点を見失わないこと。)
Thomas Demand | Artinfo
(インタビュー MoMAでの展示スタイルから、Serpentineでの展示へと変わった背景。“digital”と“photography”についての自分にとっての問題解決の仕方。その探求の成果が、"Grotto"という作品。 )
Thomas Demand : www.art-it.asia "Lift to the Scaffold" by Judy Annear
(2000年から2009年の展示まで振り返って Lift to the Scaffold By Judy Annear)"that image acts as a trigger for his memory and imaginative interpretation, so that the process he embarks upon is one of giving the viewer a representation of his perception of a mediatized reflection of an event or object."
*** Art In America : Demand's Mirror
(もっとも参考になった2012年の記事 - 2010年よりLAに元家具倉庫だった巨大なスタジオをもった。デマンドは(インターネットなどの)マスメディアから画像を引用していることから、よくポストモダニストだと考えられているが、実はOliver Wendell Holmes(オリバー・ウェンデル・ホームズ - 物理学者、詩人)という熱狂的な写真師の1859年のコラム"Atlantic Monthly"を参照するとデマンドは知ってか知らずかこの写真師の後継者となっている。ディテールの記録こそ写真の特質であるにも関わらず、ディテールを省略("The omissions are very important to me,")すること、セットを壊すことよりもその制作の方法が彼にとってより重要なこととなる。 "His work raises, as he puts it, "the question of whether these news reports really serve any purpose other than making us numb to the world around us." ニュースリポートが世界に対してわれわれが無感覚になる以外に役に立っていることは果たしてあるのだろうか...? 1937年のマグリットの"La Reproduction interdite (Reproduction Prohibited)"について、[素晴らしいイメージで今日のほとんどの芸術作品の雛形となるもの。"見ることが問いとなると同時に、問題として現れる。] ("the act of seeing is called into question, but also, at the same time, is made visible as a problem."))
Getty.edu : A Visit to Thomas Demand’s Studio By Lauren Graycar
(デマンドのスタジオを訪ねたインターンのレポート。製作中の"Pacific Sun"となる映像作品について。)
Exhibition - La Carte D'Après Nature - Matthew Marks Gallery
(マグリットを中心のコンセプトに、デマンドがキュレーションした展覧会について)
写真作品で過去に何か歴史的な出来事があった場所、戦争や事件があった場所を作品としたアフターマスの風景写真や、またフレーム内に人が写っていなくても人の存在を示唆する写真(例えばルイス・ボルツやロバート・アダムス)があるが、このトーマスデマンドの作品の場合、そのどちらにもあてはまるものの、その風景はほぼ原寸大で作られた紙製の模型であるということ。写真に何か過去の記憶を見ようとしてもはぐらかされ、たとえ人の気配をそこに見たとしてもどこまでいっても紙の模型であるからその模型の中に人は存在したことが一度もない。そもそもこれは作られたどこにも存在しない風景で写真に写っている模型は、イメージ制作の元となった出来事について説明する能力をも欠いている。イメージについてではなくイメージを”見る”という行為を鑑賞者に促す。彼がモナコの美術館でキュレーションした展示"La Carte D'Après Nature"で、ルネ・マグリットをテーマの主軸に据えている。
事件現場、政治の舞台、観光地で写真が誰かの手によって撮られる→作家はインターネットや新聞(紙)から写真を選ぶ→作家が見たことを一度記憶を通して生まれるズレを含めて再構成→紙の模型の制作→それを写真(これも紙)にして平面に再び置換する。元々3次元であったものが、アーティスト本人ではない誰かの手によって2次元に置換されたものを参考に、3次元のペーパークラフトに変換。それを2次元である写真に置き換えたものを美術館に展示し鑑賞者をこの視覚と認知のゲームに引き込む。鑑賞者は“What is this?”(これは何?)と作家に聞くと“I don't think I need to tell you.”(あなたに伝える必要はないと思う。)
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東京都現代美術館
トーマス・デマンド展 2012年5月19日(土) ~ 7月8日(日)
会 場 : 東京都現代美術館 企画展示室3F
"Pacific Sun"(映像作品 パシフィック・サン) (他、主な映像作品が公開)
(引用元となる2008年に起こった豪華客船パシフィックサン号の事故の映像 - Pacific Sun Cruise liner in very heavy seas)
カタログ : タカイシイギャラリー 「Thomas Demand」 (講談社) ハード・カバー、84頁、掲載作品33点
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展示プリントはタイプC(銀塩プリント)に表面ディアセックフェース加工。
Diasec - Wikipedia
(ガラスと比べて発色とシャープネスがよくなり、また紫外線による退色にも強い。Diasecは商標である。)
Diasec - Fine Art
Diasec - Does anyone know anything about it? - Photo.net photo.net ...
p.a.r.k: CONTACTS. [DVD] (now on dvd)11人の写真家の貴重なドキュメンタリ
Art and Photography (Phaidon) Edited by David Campany
Amazon.co.jp : Thomas Demand Museum of Contemporary Art
Thomas Demand (Fondation Cartier Book)
Thomas Demand: L'esprit D'escalier
The Dailies
Thomas Demand: Nationalgalerie
写真のエッセンス―プロフェッショナル28人が語る写真作法(数ページのインタビュー収録)
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