フィルムかデジタルかの好みとかそんな次元の話ではなく表現するための道具として何を選ぶか、上映環境の変化とデジタルにすることによって抑えられる費用、フィルムカメラではできなかった自由なカメラアングル、デジタル技術の黎明と進化、そして双方ともに危惧する視聴環境の手軽さがもたらす受け手の問題。
(この映画の中でも出てくるのだが)編集室でデジタルで撮ったものと、フィルムで撮ったものを並べて(side by side)色あわせしているのを見て見分けがつかなかった。キアヌリーブスは「フィルムはなくなるじゃないか」と思ったときの驚きが、デジタルで仕事をするドキュメンタリの作家とこの映画を作ることに至った
フィルム、デジタルの短所をあげたり、長所を主張するだけではなく、皆言ってることがそれぞれ正しい建設的な議論。キアヌリーブス他製作者がバランスよくこの90年代末から始まった狭間の時代をよく捉えている。
このドキュメンタリにもでてくるベテラン編集者
アン・コ-ツ(「エレファントマン」「アラビアのロレンス」)。
「ファースト・カット」というなかなか肉声がでてこない裏方である映像編集者のインタビュー集にもでてくるのだが、フィルム撮影当時からビデオをまわして、監督の意向となる編集、編集者の思うものと2パターンのラフを作って監督と最終的な仕上がりを相談していたのだそうだが、デジタルになってそういう部分が簡単にできるようになって自ら習得し気に入っているようだ。
映画『サイド・バイ・サイド:フィルムからデジタルシネマへ』
公式サイト
フィルムを使って撮影した「ダークナイト」「インセプション」の監督 クリストファー・ノーランは別として、インタビューにでてきた監督はみなデジタルを使うことでキャメラマンの作画に頼らず全てを自分の手元にもつことができるという点で、撮影監督は ヴィットリオ・ストラーロ(”光の魔術師” 「地獄の黙示録」「ラストエンペラー」)を別として概ねフィルムで撮影する利点を述べている。その中にあってフィルムもデジタルでも撮影しているマーティン・スコセッシの最後の言葉は重い。
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サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ
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ファースト・カット―アメリカン・シネマの編集者たち