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8.29.2010

Rest In Peace Corinne Day 訃報 コリーヌ デイ Heaven is Real

(via:i-D)

以降のファッションフォトグラフィに多大な影響を与えたCorinne Day (19 February 1965 – 27 August 2010) が8月28日に亡くなったとの報。ソースの出所(おそらくDANSKというサイトとのこと)がわかりませんが、雑誌、エージェント、主要のウェブログなどが彼女の訃報を報じています。

コリーヌ・デイといえば、初めに思い浮かぶのが1990年のThe Faceのエディトリアル。
モデルらしくないソバカスだらけの小柄な 新人モデル Kate Moss(ケイトモス)を起用した "The 3rd Summer of Love"  現実や日常から完全に切り離されていたモード写真を、完全なものだけじゃなくて、不完全で混じり気のあるあるがままの日常に接続させることで、1990年代以降はファッションはなんでもありになった、それほど大きな偉業(破壊)だったことが (The Faceやi-Dなどの雑誌編集者とともに)今になってよくわかります。

音楽の世界とファッションが近づいた時代でもあり、Sonic Youthの"Goo"が90年、ニルヴァーナのNever Mindが91年と、重々しく神経質なグランジが登場し、それに反応してファッションもスーパーモデルブームに象徴されるグラマラスなものからローファイ(アンチグラマラス)なものに変わっていきました。

老舗のVogueやBazzarではなくThe Faceやi-Dといったイギリス発のファッション雑誌がクールなものとなり、時代の気分を映像化したのが、Jurgen Teller, David Sims Wolfgang Tillmansそして Corinne Dayといったロンドンに集まった若手のフォトグラファー。

Corinne Dayは雑誌でのフォトグラファーとしての活動とともに、ナンゴールディンに代表されるような"インティメイトな(親密な)"写真 - 撮影者の身の回りの人やモノを撮ったもの、彼女にとっては Tara という親友を被写体として写真を撮って作品としてまとめた写真集 Diary を発表し話題となりました。


Not In Fashion from HIMMELREICH* on Vimeo.


そして突然の彼女の訃報。脳腫瘍があってずっと闘病していたのだそうです。彼女のケイトモスとの一連の仕事は、ファッションという作られた世界の中にあって人生におけるある視点を伝えるフォトグラファーとモデル、2人の共同作業のドキュメントだったように思えます。ご冥福をお祈り申し上げます。


Wikipedia : Corinne Day
Official Site

ずっとブログで取り上げようと思っていたフォトグラファーだったのですが、そのタイミングが訃報になってしまいました。

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その後、Gimpel Fils Galleryでの彼女の回顧展 Corinne Day "THE FACE" にあわせて"Heaven is real"が出版されるようです。Kate Moss の見覚えのある写真のほか、初公開の写真も多く公開されています。テキストにはファッション写真の展覧会のキュレーションや著作もあるCharlotte CottonAlice Corriaがつけられています。

NOWNESS : Corinne Day: Heaven is Real
Morel Books : Heaven is Real
KAZAK: KAZAK#5 ”Corinne Day"
コリン・デイ写真集 : CORINNE DAY : DIARY - flotsam books

Amazon.co.jp : Heaven Is Real
Corinne Day Diary
May the Circle Remain Unbroken

闘病中 車椅子に乗っていた"London Girl" の彼女の為に買って完璧に整備した調子のいいロンドンタクシー、オースティンが売りに出ています。Alpineのカーステレオ付き。

1996 Austin Fairway black London Taxi - Corinne Day's black Taxi 4 sale £4500.

10.09.2009

追悼:アーヴィンペン/アービングペン Irving Penn



写真家アービング・ペンさん死去 ヴォーグ表紙手がける
どうせネットのニュースは時間が経つと消されてしまうので以下asahi.comより転載いたしました

”米国の写真家アービング・ペンさんが7日、ニューヨークの自宅で死去した。92歳。ファッション誌「ヴォーグ」の表紙を手がけるなど、20世紀で最も影響力のある写真家として知られた。死因は明らかにされていない。複数の米メディアが伝えた。
 ニュージャージー州出身。画家を目指したが、雑誌のデザイナーに。たまたま撮った写真が43年のヴォーグの表紙を飾り、評価を受ける。簡素な構図を発展させて、写真を芸術の領域に引き上げたといわれる。”(ニューヨーク)(asahi.com)



この見出しだけ見るとファッション雑誌の表紙を撮っていたあるひとりの写真家の訃報となるが、彼の果たした(商業)写真への貢献は大きかった。ピカソをはじめ歴史に名を残す有名人の数々のポートレート、軟らかく拡散させた光の下のポートレート、路上で見つけたタバコの吸殻も写真に置き換えることでその造形の価値を伝えたシリーズ、冷凍食品をも意味を取り払って形だけど構築し抽象的な美を見せたスティルライフのシリーズなど、多くの重要な作品を生み出しました。

(C) Irving Penn/Street Findings/New York,1999

ニューヨークのMoMAでまとまった数の彼のプリントを見たことがあるのですが、それはとても美しく圧倒されたものでした。ネットではここで写真をタップリ見ることができます。
Master of Photography:Irving Penn



10月13日発売予定の本、Irving Penn: Small Tradesと2010年2月発売予定のIrving Penn Portraitsを見つけましたが、生前に企画されていたということは本人が編集をチェックした最後の二冊となることでしょう。

地上の僕らは、あなたのことをずっと忘れないでいます。ご冥福をお祈りいたします。

Irving Penn: Small Trades
Still Life: Irving Penn Photographs 1938-2000
アーヴィング・ペン 三宅一生の仕事への視点
FLOWERS