3.07.2010

プレゼントに最適な写真集と訊かれても・・・

(C)2005-2009 The Sartorialist

雑誌のファッションストリートスナップを楽しみに見ている女性にはベストセラーのThe Sartorialist

現在も進行中のプロジェクトとのこと。
http://thesartorialist.blogspot.com/

他には写真の質が高いVogueに掲載された写真で構成されたケイトモスが表紙のPeople in Vogue: A Century of Portrait Photography

(C)Steidl/William Eggleston(via:Wallpaper.com)

フランス好きな彼女にはパリ写真の古典Henri Cartier-Bresson:Propos de Parisや面白いところでエグルストンのドローイングも一緒に掲載されているカラフルなWilliam Eggleston: Parisこのブログで紹介したAtget: Parisは全部モノクロの100年以上前のパリで決して日本人の想像するような70年代以降のパリではないので、ちょっと上級者向けです。

(C)Michael Light

科学や宇宙好きな女性も増えたということでそんな方には、The Universe: 365 DaysFull Moonが写真も美しい本です。

(C)Chronicle Books

身体意識への探求派(?)には、Love and Desire: PhotoworksとかずっとベストセラーのPlayboy: Brunettes(こういうのって乳首-もしくはバストトップを隠す習慣はどこからきているのでしょうか)

(C)Bene Factum Publishing Ltd

変わったところでCape Codの美しい空と海とビーチとリゾート地が写真に収められたCape Light: Color Photographs - A New Expanded Editionは美しい、また写真集の古典として有名な本。ただし、いずれ夏が終わる気配がそこかしこにあります。

Romanceは情熱的でグラフィックとしてもなかなかよくできたもの。
サンプルはこのフォトグラファー/アートディレクターのサイトで見ることができます。
Chris Craymer Romance

あとは定番になっていて女性にも人気があるらしい藤代冥砂氏のもう、家に帰ろうもこのリストに付け加えておきましょう。

ただ肝心のこれを書いている私が写真集を女性にプレゼントしたことがないのであくまで分析による文章。プレゼントしてなにがあっても私は責任とれませんのであしからず。よい週末をお過ごしください。

カメラバックのストラップを換えるという発想 - West Point(MIL-613) ショルダーベルト(ハードタイプ)日本エイテックス

(C)日本エイテックス株式会社

Loweproのかなり大きいカメラバックを日頃よく使うことが多いのですが、それに元々ついているストラップのベルトの長さを調整する部分がプラスチックのため、重い荷物を持っているときにそれがずれさがってしまって困っていました。

東急ハンズの店員に相談したところ、金具のものであればストラップのベルトが滑らないで固定されるのではないかということで薦めていただいた商品。(下記は楽天のリンクです。ハンズでも同じ値段でした。)

ショルダーベルト(MIL-613)

帰って来てテストしてみたけど肩の部分にパッドも入っていてなかなか良さそうです。

買いっぱなしのカメラバックのストラップを換えることという発想がなく、今までつらい思いをしていましたが、こういう手もあるのかということで紹介しました。ちなみにこの商品日本製。なんとなくですが金具もしっかりしているように見えるんじゃないかというのは、聞き流してください。

耐加重:125kg
サイズ:38mm(幅)135cm(全長)35cmX6cm(パッド部分)

3.06.2010

Taryn Simon: An American Index of the Hidden and Unfamiliar タリン サイモン 近くにある秘境の写真


(C)Steidl
”Taryn Simon: An American Index of the Hidden and Unfamiliar ”

この本に収録されている写真と場所、モノたちを繋ぐ横糸は何だろうか..このアーティストのサイトで写真につけられた場所を示すキャプションを見ることでそれはすぐにわかります。

核廃棄物の処理サイトのチェレンコフ光、点字のプレイボーイ、アメリカの税関で保管されている食物、マリファナを研究目的に栽培している施設、抽象表現主義の作品が飾られたCIAのオフィス。


それぞれの場所は、カタログのように同じように淡々と撮られ、すぐにそれが何のために存在している施設かわからないのだが、写真につけられたキャプションを見たときに、その場所や写っているモノの正体を知ったときの驚きが楽しい。

宇宙からの映像も、遠くアフリカの洞窟のイメージも簡単にネットの画像検索でみつけることができる現在(だからといって簡単には行けるところではないのだが...)秘境は遠方ではなく、我々の住んでいるところから車で2,3時間行ったところや、我々の立っている地面のすぐ真下に存在していると想像させる興味深い作品。



The Innocents というプロジェクトでは、冤罪になった50人の元被告が逮捕された場所で(もしくは彼らの運命を決定づけた場所、事件当時本当にいたアリバイの場所)撮影されたものがまとめられている。

最新作は "An American Index of the Hidden and Unfamiliar"から展開したものともみられる Contraband というプロジェクト。こちらは関税など国境で差し押さえられたモノだけを同じ白背景で大量に撮影しています。

Taryn Simon - Wikipedia, the free encyclopedia
exhibitions: fogless : Taryn Simon [フォグレス:展覧会:タリン ...
Youtube : TED RANDOM「タリン・サイモン 隠された側面を撮る」#ted_random
Taryn Simon photographs secret sites
TateShots: Taryn Simon

Wired : 一般人が立ち入れない「米国の秘密の場所」写真ギャラリー
Taryn Simon: A Living Man Declared Dead and Other Chapters, I-XVIII タリンサイモン

Amazon.co.jp : An American Index Of The Hidden And Unfamiliar
Contraband
The Innocents
Taryn Simon: The Picture Collection

謎の多いNick Waplington - Truth or Consequences

名前と彼の写真集のタイトルを知っている人は多いけど、実際どんな人か意外と知られていない写真家のNick Waplington


彼の作品集Truth or Consequencesという写真集は”Truth or Consequences”という不思議な名前をもつニューメキシコの街(そこの住人が1950年代頃にあったクイズ番組の名前にちなんで街の名前にとつけた)で撮影された。

なにげない家の引き出しに眠っているようなスナップショットのフリをしたアメリカの田舎のこれまで何回も映画や写真集で見た事のあるイメージのそれは、エグルストンのDemocratic Forestやスティーブンショアの”それ”、フリードランダーのような写真もあればロバートアダムスの写真をカラーにしたような”あれ”もある。


副題は”A Personal History of American Photography from the Last Century”(前世紀のアメリカの写真の個人的なヒストリー)とあるようにWalker EvansやEdward Westonなど20世紀前半の写真家へのオマージュだということがわかる。

過去に著名な写真家により撮影された写真に対するオマージュを立てることによって、写真を見る人、彼(彼女)自身が実際に体験として見たものが掘り起こされる記憶(デジャヴュ)と同じように、体験を通していないにも関わらず、ある写真を見ることによって蓄積されたイメージのデジャヴュがトリガーとなって立ち上がってくる記憶。

森山大道氏がアジェや安井仲治へのオマージュをたてるのにも少し似ている。(森山氏のさらにすごい(したたかな)ところは、自分が過去に撮った写真までも繰り返し複製していることでもある。)

Nick Waplingtonは 現在もアーティストとして活動中だが、彼自身のウェブサイトはみつからず、ネットで調べた限りイギリス人の写真家と書かれていたり、イエメンに生まれて今はイスラエルに住んでいるという記述があったり、その街の名前のように”Truth or Consequences”(真実か、あるいは帰結か)、あるいは(Wikipediaで知る限り)ネット上に散らばっている彼についての情報が真実か、ニセモノか検証することすらも無意味で、つまりは彼の近作の展示のタイトルにもあるように"You Are Only What You See"(あなたは、あなたが見ているものに過ぎない)といっているのかもしれない。

ben huff . words & photographs

Amazon.co.jp : Truth or Consequences