3.24.2010

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以前は抽選でA3のプリンタなどくれたものですが、今回のキャンペーンでは「風景写真ガイドブック」と、なんと写真家 米美知子さんのオリジナルプリント4枚がいただけるそうです。

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Lewis Baltz ルイスボルツ 1945-2014 経歴 アーティスト

「アンセル・アダムスなどの古典的な写真家が景勝地を求めて来ていた、モントレー(サンフランシスコの近くの海に面した街)に住んでいたが、ポイント・ロボスや、ヨセミテにいくこともなくショッピングセンターやガソリンスタンド、ハイウェイのそばを彩っているそんな場所にいくのが日常だった。誰も気にも留めないで見ることすらなかったのがそんな風景だった。私以外にね。」


自然にわけいって開発して風景を別のものに変えて行く文明(人間)を考察するための”資料”となる写真を制作し、それら複数を使って構成し視点を提示した 70年代から活躍するアメリカのアーティスト。

そのルイス・ボルツの作品集がドイツの出版社 Steidl よりまとめて再版されます。1945年9月12日カリフォルニアのニューポートビーチで生まれたルイスボルツ。彼の作品を時系列順に少し見ていきたいと思います。

エドワードウェストンポールストランドといった写真史における古典に影響を受け写真を撮っていたルイスボルツは、1960年代後半から70年代にかけて活発となったアートフォーム ミニマリズム の作品に出会い、1967年から、写真による具体から抽象への変換を意図したエスキス(習作) The Prototype Works(プロトタイプ・ワークス)を76年まで続けます。


その習作 "The Prototype Works" を見ると、被写体の選定(文字、車、建築物のファサード、細部) 構図の研究、いくつかの種類のカメラ、プリント上に黒とグレーと白で「形」を表現する試みを執拗に行っていたことがみてとれ、ゾーンシステムは目指さないにしても、アンセル・アダムスと比べても遜色のないプリントや写真のイメージを作り上げることを重視していたことがみてとれます。

そうした自らのスタイル(形式)を構築するための準備を経て、今度は設定したテーマに沿って(それは、ひとことでいうと「人間の手が加えられ変貌する風景=社会環境の相貌」 またそれはボルツ自身が生まれ育った土地)撮影する地域を選び、71年の"The Tract Houses"  74年カリフォルニア州アーバイン近辺の新興工業団地で撮られた写真を構成した "The New Industrial Park Near Irvine, California" といった代表作となるシリーズへと結実していきます。

特に "The New Industrial Park Near Irvine, California" では対象を照らす太陽光の角度、被写体との距離のとり方での工夫も見られ、習作で身につけたスタイルと、主題における内容の充実がこれらのシリーズで実現されます。

1980年 スキーリゾートの都市を被写体として "Park City" では、より”場所の属性を重視したもの”=記録(通りの名前、方角を明記したもの)が厳密となり、視点も高い場所から見下ろし広範囲をフレームの中に写しこんだものとなり 1.造成地の全景、2.造成地+建築物、3.建設途中の建築物の内部、4.細部 といった写真のバリエーション、プロジェクトを構成する写真の点数も増えました。


1989年から91年には、日本(東芝や三菱)とフランス、スイスの製造メーカーの研究所、原子力発電所と建物の内部へと工業にまつわるサイト(場所)に撮影地点を移し、監視カメラの画像とで構成した"89-91 Sites of Technology"というカラー写真のシリーズを制作。

90年代は写真で空間を埋めたインスタレーションも試み、ヨーロッパの特徴のない平均的な都市の夜景を撮影した大型プリント(2m X 1m)で構成した Le Ronde de Nuit (1992), Docile Bodies (1995), The Politics of Bacteria (1995) を経て、現在は教育者としてイタリア・ヴェネチアの大学で教えています。

ルイスボルツなどの70年代のアーティスト/写真家 以前には、コンセプチュアルな写真作品のモチーフとはなりえなかった建築写真、風景写真。被写体の選定、撮影方法、提示の仕方を洗練させることで、アーティストの視点の提示を可能にする道具として写真表現の可能性を拡げた功績は計り知れないものとなりました。

以上は、私が個人的に調べてまとめた、ルイス・ボルツの一連の作品の概要ですが、1992年に川崎市民ミュージアムで開催されたルイス・ボルツ展の際に発行されたカタログ「ルイス・ボルツ : 法則 = Lewis Baltz : rule without exception」にある、深川雅文氏「トポスの力学」がとてもわかりやすいのでぜひ参照ください。

ボルツ(ぼるつ)とは - コトバンク

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生前最後のインタビュー Last interview of Lewis Baltz with Jeff Rian - The Eye of Photography がフランスのサイトに亡くなったあとの11月25日に公開されましたがこのインタビューで、上記のウェブや書籍などの断片から作ったまとめの隙間を埋めるものとなります。インタビューというよりオーラルヒストリーといったその人生を振り返ったもので最も重要なインタビューの一つとなることでしょう。

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George Eastman House Lewis Baltz Series:The Tract Houses (画像)
Lewis Baltz. Park City. Los Angeles County Museum of Art (画像)

Works - Lewis Baltz - Artists - Galerie Thomas Zander
Wikipedia : Lewis Baltz
Steidl : Lewis Baltz "Works"
American Suburb X:Interview With Lewis Baltz  - インタビュー(英語)
Oral history interview with Lewis Baltz, 2009 November 15-17 Smithsonian Institution



ルイス・ボルツ本人による自己紹介 「写真が特別なのは唯一演繹的なアートだから」「カメラは何を見ているか、
なぜ私は見るのか、なぜなら誰もが知っているありふれたものだから...」


p.a.r.k : (Phaidon) ファイドン わかりやすくアートをテーマごとに解説した本
Robert Adams 写真集 To Make It Home: Photographs of the American West ロバート・アダムス
New Topographics/ニュー・トポグラフィックス
CONTACTS. [DVD] (now on dvd)11人の写真家の貴重なドキュメンタリ
"Ed Ruscha, Photographer" Edward Ruscha エドワード・ルシェ
WAKO WORKS OF ART ワコウ・ワークス・オブ・アート Lewis Baltz ルイス・ボルツ "Sites of Technology" "Near Reno" 2015年9月12日(土) - 10月17日(土)


Amazon.co.jp :Lewis Baltz: Common Objects(生前最後の展覧会カタログ)
Candlestick Point
Lewis Baltz: The New Industrial Parks
Lewis Baltz Works(集大成ボックスセット)
Texts(Kindle)(英語、ボルツの評論集)
Weston's Westons: California and the West(ボルツが影響を受けたウェストンの写真) 
Ed Ruscha: Photographer(同じく影響を受けたルシェの写真を集めた本)

3.22.2010

"Alison" by Jack Radcliffe 父娘の長期プロジェクト

写真を見るとすぐにこの写真がなにを示しているのか読み取れるかと思います。

Behance Network:Alison by Jack Radcliffe

この父と娘の長期プロジェクトを成立させているのは、同じトーンで写真がとられていること撮られていることによって画面の中に写っている娘の微妙な変化に鑑賞者の集中力を持続させる。

アングル、光の当たり方(多くはストロボを用いたもの)、レンズの画角から判断して、これは非演出ではなく、娘の成長過程で起こる出来事や感情の動きを象徴するイメージを「セットアップ」していると考えられる。

では、逆にこれらはセットアップしていない自然な様子を撮影したスナップ写真としてもう一度これらの写真をみてみよう。常にカメラを準備して、毎日毎日、娘の写真を撮り続けてこれらの写真を得ることができるだろう。

つまり、もはや「セットアップ(演出)した」「しない」が写真にとって重要な要因ではなく、「写真は嘘をつく」ことを誰もが知っていることを前提に ”写真が何を語りだすか””写真に何を語らせるか” について優れた作品といえる。

ポアンカレ予想・100年の格闘 ~数学者はキノコ狩りの夢を見る~

産経新聞:「ポアンカレ予想」は解決 露の“隠遁数学者”に注目集まる

2002年にペレリマン氏が予想を証明したとする論文をインターネット上に公表したことは、これまで数学雑誌での発表が決まった発表の決まった方法だったのに対して、斬新だったと聞いています。

数学に詳しく噛み砕いて説明するのがうまい友人に、ペレリマンのことや、ポアンカレ予想の命題がどういうものかだいぶまえに聞いた記憶はあって(全く理解はできなかったのですが)数学者ですらペレリマンの証明を理解できなかったと聞いていました。それが8年という時間をかけてペレリマンの証明が正しいことを証明したというのが、このニュースのようです。

雑学的に当時参照した本をここに掲載しておきます。
NHKスペシャル 100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影

ようやくNHKで放送されたわかりやすかったドキュメンタリも発売されるようです。
ポアンカレ予想・100年の格闘 ~数学者はキノコ狩りの夢を見る~ [DVD]

タルコフスキーのストーカー ではないが、なにかまだ地球上には希望(科学や数学の発展に限定したものではなく、それこそ小学生の時に繰り返し逆上がりを練習している時)のようなものが存在するのではないかと、証明も命題も理解していない頭で思った。