4.21.2010

Mika Ninagawa (Rizzoli) 蜷川実花氏と森山大道氏と村上隆氏のつながり

(C)Rizzoli

蜷川実花氏の写真集がRizzoliから2010年10月に発売予定。森山大道氏、村上隆氏が寄稿と豪華。どのように彼女の作品を見ているのか興味深いところです。

Ninagawa Mika Official Website

人気の高い彼女の作品をポスターや広告など色んなところで目にしますが、体系的にまとまっては見たことがなかったので上のウェブサイトでみているところです。被写体は花、金魚、旅で出会ったものが。コマーシャル作品としては、ポートレートが中心で背景にビビッドな色を置いたものか、もしくは花を敷き詰めてその前に人物を立たせたもの。被写体の選択によって何かの意味を導き出す写真ではなく、あくまでイメージの強度を考え被写体の持つ色を写真のフレームに埋めていくパレットとして利用しているようです。

(C)William Eggleston


同じカラー写真を使う、例えばウィリアムエグルストンの場合は、彼の写真を成立させるため”血のようにべったりした赤”が必要だったと本人も述べているように重要な要素で、それはダイトランスファーというプリント技術が可能にしました。

蜷川氏のトレードマークとなっている海外のソフトドリンクの着色料のような色は、アグファ(今はわかりませんが)のフィルム、クロス現像によるネガの作成によるものとのこと。

写真にとって色がどんな役割を果たすか、エグルストンの場合は、色と南部の地域性、時代性が切っても切り離せないものがあるのに対し、蜷川氏の場合は、写真を見る人に読みを求めないで、ちょうどリゾート地に着いてビーチに出た刹那、体で”浴びる”ことができる直感的な色をみているようです。エグルストンが最近ブログによく出てくるので比較する例として出してきたのですが、それを他のカラー写真で制作するアーティストとの比較を通して考えてみるとまた違って見えるかもしれません。

いずれにしても蜷川氏の作品はあらゆる分析をかすめ、作者自身はプリントと撮影をひとつのものとして制作することに最も大きな関心..そう考えると、それはまさに森山大道氏の作品を指しているのが興味深いです。

Amazon.co.jp : Mika Ninagawa
≒(ニアイコール)森山大道 [DVD](NEAR EQUAL MORIYAMA DAIDO)(English subtitle)
芸術闘争論

Japanese Photobook - Ikko Narahara "Fifteen Thousand Nights"奈良原 一高 ”1万5千回の夜の間に”



出版社 mole(モール) (1994/11/3) 厚さ4ミリ、17点の写真が収録の小冊子。”1万5千回の夜”とは氏が写真家になって(1994年で)41年、1万5千回の昼と夜を過ごしてきたことを指している。写真を包括する大きな物語を示唆したタイトルが素晴らしい。




戦後から高度経済成長期、70年代後半と大きく動いていた時代は完全に過去のもので、当時おそらくあったであろう社会とともにあった大きな物語は今や存在しないし、より個人的な世界との接し方に代わった写真が中心となったことをこの写真集を見ていて思うところでした。時代をまたいで撮影された夜の写真を中心に、レントゲン写真や、ロケットの打ち上げのベタ焼きまでレイアウトされたものが構成された写真集です。



Wikipedia:奈良原 一高

Amazon.co.jp : 1万5千回の夜の間に
日本の写真家〈31〉奈良原一高
日本の「自画像」1945~1964
消滅した時間
デュシャン大ガラスと滝口修造シガー・ボックス

4.19.2010

Where We Live: Photographs of America from the Berman Collection WILLIAM EGGLESTON STEPHEN SHORE コレクターの顛末

(C)J Paul Getty Museum Pubns

192ページと分厚い展覧会のカタログ - Where We Live: Photographs of America from the Berman Collection (Getty Trust Publications: J. Paul Getty Museum)2006年10月24日から2007年2月末にかけてJ. Paul Getty Museumで開催された風景写真の展覧会のもの。

この展覧会は、Bruce Berman と Nancy Goligerというハリウッドの映画産業に従事するお金持ちの夫婦が1991年からコレクションしてきた写真作品で構成されたもので、その質量が話題となりました。

The Getty:http://www.getty.edu/art/exhibitions/berman/

そして再びこのコレクションが脚光を集めるのが2007年末のこと。この夫婦が離婚することになりそのコレクションを手放すというニュース。

New York Times:Splitting Up a Collection

実際にそのコレクションは、2009年10月にオークションで売却されました。下のクリスティーズの目録をみると、この二人のテイストを少し覗き見ることができます。ミズラック、キャラハン、アレックソスやショア、特にエグルストンのものが多いことが伺えます。

Christie's: The American Landscape: Color Photographs from the Collection of Bruce and Nancy Berman

p.a.r.k: the Collection of Lenore Doolan and Harold Morris.. ある ...
La Collection De Photographie D'agnès b アニエスb.の写真コレクション
The Latin American Photobook (Aperture)

Amazon.co.jp : Where We Live: Photographs of America from the Berman Collection (Getty Trust Publications: J. Paul Getty Museum)
Uncommon Places: The Complete Works
William Eggleston: Democratic Camera; Photographs and Video, 1961-2008 (Whitney Museum of American Art)
American Independents: Eighteen Color Photographers

4.17.2010

Headphone Masterpiece Cody Chesnutt

(C)Ready Set Go

2002年のCody ChesnuTTのデビューにして二枚組の名盤 Headphone Masterpiece

自宅の4チャンネルのテープレコーダーで録音された曲は一人で作った割に多様だし、ポップスあり、ローファイなヒップホップあり、ロックあり、オルタナあり、ソウルあり。

Wikipedia - Headphone Masterpieces



The Rootsの"The Seed (2.0)"で客演していることで知っている方もいるかと思います。彼のソロデビューアルバムはタイトルにたがわぬ名作だと思うので、気になった方はぜひ。



Amazon.co.jp : Headphone Masterpiece