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5.09.2012

川内倫子展 照度 あめつち 影を見る - 東京都写真美術館 青幻舎

今回のメインイメージの 野焼きの写真を見て、エドワードウェストンの "Pirámide del Sol, México, 1923" を連想したが、ちょっと違った..初日から好評の東京写真美術館の展示に際して開かれる開催イベント。

対談:内藤礼(現代美術作家)x川内倫子 5月25日(金)18:30-20:00
会場:東京都写真美術館 1階ホール 対象:本展覧会の半券をお持ちの方のみ。
定員:190名、先着順(当日午前10時より1階受付にて入場整理券を配布)

対談:原田郁子(音楽家)x川内倫子 6月22日(金)18:30-20:00
会場:東京都写真美術館 1階ホール
対象:本展覧会の半券をお持ちの方のみ。
定員:190名、先着順(当日午前10時より1階受付にて入場整理券を配布)

川内倫子展 照度 あめつち 影を見る - 東京都写真美術館
青幻舎 ”川内倫子写真集 照度 あめつち 影を見る”―5月中旬発売予定
ブックデザイン 葛西薫氏、増田豊氏(サン・アド)



本という形態で自分の作品をみるということ、ページでみることで喚起される。シークエンス。
GA Info : インタビュー

Rinko Kawauchi Official Site
Rinko Kawauchi Diary
high fashion online : open space

Amazon.co.jp : (展覧会カタログ) 照度 あめつち 影を見る
Illuminance
Rinko Kawauchi: Murmuration

4.26.2012

Yasuhiro Ishimoto A Tale of Two Cities 石元泰博 追悼展 「シカゴ, シカゴ」

(C)Art Institute of Chicago

故 石元泰博氏が写真を学んだ Art Institute of Chicago で99年に開催された回顧展の際に出版された写真集。東京とシカゴの写真を並置して見せている。若干図録の点数が食い足りないような気もするがバラエティに富んだ内容でいい本(ソフトカバー)。今見ると丸めた紙のグレーと白の構成や、スナップがあり、建築がありと写真で出来ることはなんでもやっていることに驚かされる。中身を少し写真に撮ったので下に貼っておきます。神奈川県立近代美術館<鎌倉館>では6月10日まで桂離宮の写真展が、5月8日からは Photo Gallery Internationalでなんと”追悼展 「シカゴ, シカゴ」”が開催。

石元泰博 写真展 -桂離宮 1953、1954 : Yasuhiro Ishimoto - Katsura ...
Photo Gallery International 石元泰博 追悼展 「シカゴ, シカゴ」2012年5月8日(火)−6月16日(土)




ここからが本題だが、英語の Wikipediaの方が日本語のより内容が充実していて、それと岩波書店から1997年に発行された『日本の写真家 26 石元泰博』の序文で飯沢耕太郎氏が引用しているアサヒカメラのインタビューを照らし合わせてみてみると興味深いことがわかる。

「日本にいるあいだに、私は、よくても悪くても、自分なりの写真表現と取り組んで、いわゆる造形的な写真を発表した。日本の伝統に取材した写真、日本のクラフトを撮影したもののほとんどが、”造形写真”とよばれた。しかし、三年間、日本をたつときは、私はそうした”造形写真”からの脱出を考え出していた。何とかして、それまでの自分から抜け出したいと思ったのである。」

「あらゆる分野で、写さなければならぬもの、写さなければいられないもののイメージを、全精力かけて記録したもの」(「私のアメリカの三年」『アサヒカメラ』1962年2月号)

『桂 日本建築における伝統と創造』の初版が1960年、シカゴでの二度目の滞在(この頃、ミノルタの当時の社長田島氏による奨学金 ミノルタ・フェローシップを受けている)をはさんで完成した『シカゴ、シカゴ』が1969年。桂離宮の写真が代表作として語られ造形的な写真で語られることが多い氏が、並々ならぬ情熱をもって造形写真からの脱出を目指し撮影し完成したものがあの『シカゴ、シカゴ』ということがこのインタビューから見て取れる。

鎌倉で「石元泰博 写真展 -桂離宮 1953、1954」 東京で「シカゴ, シカゴ」とその両方を見ることが出来る。

石元 泰博 | Fotonoma The Photographer
『風の旅人』と呼応する写真家たち: 第6回 石元泰博
日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ/石元泰博インタヴュー1
石元泰博さん逝去に寄せて 「風の旅人」佐伯剛さんのツイート - Togetter
「写真家・石元泰博を悼む」磯崎新|とんとん・にっき
p.a.r.k: Katsura---Picturing Modernism Ishimoto Yasuhiro 石元泰博 ...

Amazon.co.jp : Yasuhiro Ishimoto: A Tale of Two Cities
Yasuhiro Ishimoto: A Tale of Two Cities
Hana
石元泰博 桂離宮
Katsura: Picturing Modernism in Japanese Architecture: Photographs by Ishimoto Yasuhiro (Museum of Fine Arts, Houston)
石元泰博 写真という思考

3.17.2012

東京都現代美術館・長谷川祐子氏 インタビュー 日経トレンディネット



本物の「キュレーション」とは?―東京都現代美術館・長谷川祐子(前編)
「キュレーター」は社会の“コンパス”―東京都現代美術館・長谷川祐子(後編)

日経という媒体の性質もあって、いかにビジネスの話に結び付けそこで”勝者”になるのかというインタビューの筋になっているが、そんなビジネスとアートの時間の流れ方や意義についてのズレも含めて興味深いインタビュー。

東京都現代美術館 | MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO
東京都現代美術館 - YouTube

p-a-r-k: Thomas Demand トーマスデマンド
Francis Alys フランシス アリス 展 東京都現代美術館 Tokyo Large Show
ANDREAS GURSKYアンドレアス・グルスキー展

Amazon.co.jp : 「なぜ?」から始める現代アート (NHK出版新書)

1.09.2012

STARBUCKS ART MAGAZINE & BEVERAGE CARD 05 市橋織江「スターバックスのある風景/世界編」

ビバレッジカード(好きなスターバックスが飲めるビバレッジカード付き)¥590が本についているということで90円プラスで人気写真家 市橋織江氏の写真をみることができるという企画本。
*ビバレッジカード有効期限2012年3月31日

STARBUCKS ART MAGAZINE & BEVERAGE CARD 05 市橋織江「スターバックスのある風景/世界編」

10.28.2011

苔のむすまで 杉本博司 (新潮社)

(C)新潮社

氏の作品を、”写真のための写真”という観点からみてきたし、実際そういった構造を作品の形式に持たせているのだが、この本を読むことで生まれて東京で育ってアメリカに渡って育まれた氏の軸がみえてくる。またさらに雑誌「和楽」という雑誌に連載されたものをまとめたとのことで、「写真家の書いた文章」という括りからの広がり、それは、なんとか消滅の危機を乗り越えながらも多くの人を介して伝えられてきた骨董品や芸能(能)や書籍や歌を通して、明治時代の廃仏毀釈や歴史上の契機に壊されてしてまって現在我々が想像することしかできない太古の文明の姿を妄想している、写真家(芸術家)でありながら、元骨董商であった氏ならではの観点が面白い。


写真に関心があるのならば、丁寧に作品を見ればだいたいわかることですが、大昔の絵師や仏師が残したものを通して日本とはどんな国なんだろうとその分野での知見のある杉本氏の考えを知るには格好の本だと思います。逆に写真というものをあまり知らないでこの本を読むと、杉本氏の術中にはまって作品を見る時にこの本にあるような氏の世界観から逃れられなくなって盲目に氏の作品を崇拝してしまうかも。杉本氏はデュシャンからの影響を述べていることで本人も読者が表徴の裏に幻を見ることを意図して文章を書いたんだろうと勘ぐりたくなるもの。「答えはない。なぜなら問いがないからだ」

読みやすくそれほど難解な文章ではないのでスラスラ読みやすいです。最後の章、表題「苔のむすまで」は語り口の熱が少し上がっていました。

杉本博司『苔のむすまで』|新潮社
写真の履歴 杉本博司『苔のむすまで』青柳恵介

Amazon.co.jp : 苔のむすまで
Rakuten : 苔のむすまで

10.27.2011

Goth-Trad - New Epoch


随分久しぶりアルバムのリリースだと思います。日本の今やベテランミュージシャンの GOTH-TRADのアルバム"New Epoch"が発売予定。イギリスのダンスミュージック、ダブステップ (Dub Step) と呼ばれる音楽がありますが、GOTH-TRADさんがずっとやり続けてきた音楽に、後になって名付けられた音楽であるダブステップが追いついたんじゃないかと今になって思います。


ちなみに BBC Radio1 の John Peel(イギリスのピーターバラカンのような人)が早い時期にダブステップをラジオで紹介していたという話は意外でしたが、なるほどイギリスなら(ジョン・ピールなら)十分あり得ること。日本では仕事が終わってさぁ飲むぞというわけで、居酒屋でたらふく飲んだら終電で電車に揺られて帰る訳ですが、欧米、特にイギリスではお腹をさっと満たして、パブやバーで一番安い飲み物 - ビールを一杯飲んだら大部分の若い人がクラブにいって踊って発散しにいきます。その分ダンスミュージックの市場も大きく、新しいスタイルのダンスミュージックが周期的に現れ競いあっているという状況が常にあります。飲み屋で4、5千円程度遣ってお腹も満足して、それからクラブ行くというのはなかなか金銭的にも体力的にもタフで、日本においてクラブに音楽を聴きに行く習慣が大きなものにならなかったの理由のひとつはそこにあるのではないかと思っています。

クラブは日本では目の敵になぜかされていますが、クラブでは人に出会って、恋愛も学んで、色んな音楽への関心を育て、見知らぬ他人への配慮を持った接し方を学ぶには格好の場所だと思います。どこに行っていいのかわからないときは、クラベリアというサイトで今夜行われているイベントを見つけることが出来るので友人を誘ってそんな場所に出ることをお勧めします。

GOTH-TRAD WEBSITE
Soundcloud : Goth-Trad
Myspace : GOTH-TRAD

P-Vine : GOTH-TRAD ゴス・トラッド
11/16 GOTH-TRAD「NEW EPOCH」- TROOP RECORDS
DEEP MEDi
Amazon.co.jp : New Epoch

10.09.2011

高木俊幸「Our Landscape/私たちの風景」vol_2 日本の原子力発電所とその周辺



Last Diary : 566 「Our Landscape」 preview vol_2

<高木俊幸「Our Landscape/私たちの風景」vol_2>
展示期間:2011年10月14日(金)~10月31日(月)(入場無料)
場所:Creative Hub 131/ (2F)TOKYO SOURCE preview room
東京都中央区日本橋大伝馬町13-1


大きな地図で見る

ダイアローグ&スライドショー 10月14日(金) 19時~
高木俊幸 × 広川泰士(写真家) ×近藤ヒデノリ(TOKYO SOURCE)
入場料:1000円

Last Diary : 高木俊幸 Toshiyuki "Nojyo" Takagi
Twitter : @Nojyo_

ツイッター経由で告知の案内をいただきました。

10.01.2011

Mariko Shindo 進藤万里子 "Bibo" 蒼穹舎 『 bibo – SP KL TK – 』 ツァイト

進藤 万里子 Mariko Shindo(b.1980 Tokyo)

ナディフに ”高松次郎 言葉ともの ―純化とトートロジー” を見に行ったときにみつけた新刊。10月1日発売ということで、今日出たばかりの本。何が写っているのかわからないのですが、モノクロでスナップした街の部分ではあるようだけれども、ただれた染みの様。ネットで調べてもよくわからなかったのですが、ちょうど写真展がツァイトで開かれるようで楽しみに見に行ってみたいと思います。

進藤 万里子 写真展 『 bibo – SP KL TK – 』 2011/10/08~2011/11/05 ツァイト・フォト・サロン
Bio : 進藤 万里子 Mariko Shindo(via Zeit-Photo)
蒼穹舎
mariko Shindo "bibo" Mar.28-Apr.26, 2006 進藤万里子 作品展 "bibo" 都市のブログ
横浜市民ギャラリー : III. 現代の写真表現

9.25.2011

国書刊行会 Masterpieces of Japanese Photography 日本写真史の至宝シリーズ



国書刊行会が復刊した2005年から2007年にかけて出版していた、貴重な日本の写真集の復刊プロジェクト。表紙は何度かみたことがあるものの身近ではもっている人はいません。

国書刊行会 : 日本写真史の至宝
安井仲治、小石清、平井輝七たちが所属していた大阪の浪華写真倶楽部
丹平写真倶楽部 | 現代美術用語辞典ver.2.0 β版
躍動する昭和 木村 伊兵衛 展(2011/01/21 ~ 2011/03/06)
小石清 - Wikipedia
安井 仲治|タカ・イシイギャラリー
日本写真会/福原信三(創設者)
Japan Photo Info : Berlin – Tokyo – Berlin? Some thoughts on the asymmetry of the relationship of Japanese and German arts in the 20th century

浪華写真倶楽部に所属していた 小石清 "初夏神経"(英語タイトル Early Summer Nerve)は Nazraeli からも2005年に復刻版が発売されていました。初版が出版された当時は亜鉛板の表紙だったそうです。このあたりの情報、日本の場合どこかで断片的に記事を読んだ記憶があるのですが、インターネット上にはまとまった情報もみつかりませんでした。Wikipediaなどのリンクも貼っていますが、ウィキペディアという性格もあって参考程度に。

そういった状況にあってFerdinand Brueggemann(フェルディナンド ブリュゲマン - 写真史家)さんの Japan-Photo.infoというサイトは、インターネット上において日本の写真について知るいい手がかりになっています。

Amazon.co.jp : 光画傑作集 (日本写真史の至宝)
木村伊兵衛 - JAPAN THROUGH A LEICA (日本写真史の至宝)
丹平写真倶楽部 光 (日本写真史の至宝)
堀野正雄 - カメラ・眼×鉄・構成 (日本写真史の至宝)
小石清 - 初夏神経 (日本写真史の至宝)
安井仲治写真作品集 (日本写真史の至宝)
福原信三 - 巴里とセーヌ (日本写真史の至宝)
Early Summer Nerves(Nazraeli)
日本の写真家〈15〉小石清と前衛写真

9.21.2011

Nobuyoshi Araki 荒木経惟展「彼岸」ラットホールギャラリー July 22 – September 25, 2011



ラットホールギャラリー(RAT HOLE GALLERY)
荒木経惟展「彼岸」

2011年7月22日(金)〜9月25日(日)
Nobuyoshi Araki "Higan"
July 22 – September 25, 2011
Gallery closed: Mondays

荒木経惟オフィシャルサイト -arakinobuyoshi.com-
甘露書房 KANROKANRO > 荒木経惟ページ
松岡正剛の千夜千冊『写真ノ話』荒木経惟
ilove.cat : 写真家・荒木経惟 × チロ 「日本で一番有名な猫」
Culture Power - 荒木経惟・大舘奈津子(一色事務所)×岡部あおみ

Nobuyoshi Araki - Wikipedia, the free encyclopedia
ARTiT : Araki Nobuyoshi
wayneford's posterous : For Japanese photographer Nobuyoshi Araki, 'All Women are Beautiful'
Galerie Steph : Nobuyoshi Araki: All Woman Are Beautiful


荒木氏で、写真集といえばさっちんセンチメンタルな旅・冬の旅がまず挙がります。多作なので選びにくいのですが、私の今日の時点でのお勧めはこの三冊。

東京人生SINCE1962
東京は、秋
冬へ―Tokyo:a City Heading for Death

新刊もまた出るようです。Bound for GloryはTaschenから。

完全版 写真ノ話
Bound for Glory

9.18.2011

TECHNODON IN TOKYO DOME YMO Yellow Magic Orchestra イエローマジックオーケストラ 東京ドーム

テクノドン・ライヴ - Wikipedia
Amazon.co.jp : TECHNODON IN TOKYO DOME [DVD]

VHSでしか見ることが出来なくて音楽に詳しい先輩によく見せてもらっていてなかなかDVDにならないことを毎回話していました。それがいよいよDVD化。同じ時期に、ナンゴールディンが制作風景を撮った写真集 NOT YMO もありました。Youtubeに動画がもしかしてアップされていると思いますが、貼るのはやめておきます。

9.13.2011

今橋映子 「“パリ写真”の世紀」「パリ・貧困と街路の詩学」

パリ・貧困と街路の詩学―1930年代外国人芸術家たち
プロローグ 宴のあと―フィッツジェラルド『バビロン再訪』
第1章 1930年代への光―無国籍都市パリ
第2章 ナチズムの台頭―亡命地の意味
第3章 危機の時代と「都市論」―亡命者ベンヤミン
第4章 フォト・ジャーナリズムの光芒―アンドレ・ケルテス
第5章 パリの眼―ミラー/ブラッサイ
第6章 都市の痕跡と写真―ブラッサイ『落書き』
第7章 壁の街・文字の音―佐伯祐三
第8章 貧困という制度―オーウェル『パリ・ロンドンどん底生活』
第9章 浮浪者の哲学―ヨーゼフ・ロート

『聖なる酔っぱらいの伝説』 エピローグ 物語られた「時代」―金子光晴『ねむれ巴里』 異都憧憬 日本人のパリ (平凡社ライブラリー)
第1部 ボヘミアン文学のパリ(ボヘミアン生活の神話と現実;アカデミー・ジュリアンと文学;日本におけるボヘミアン文学)
第2部 憧憬のゆくえ―近代日本人作家のパリ体験(乖離の様相―高村光太郎;生きられる都市―島崎藤村;徒花の都―金子光晴;貧困と街路の詩学・一九三〇年代パリ―ミラー・ブラッサイ・オーウェル・光晴)

“パリ写真”の世紀
江戸の記憶・都市の映像―リヴィエール/コバーン/福原信三
第1部 パリ神話の成立と文学/写真(“パリ写真”とは何か;十九世紀生理学の影―始まりとしてのアジェ)
第2部 写真集というトポス(都市のグラフィズム―ジェルメーヌ・クルル『メタル』;遊歩者の手法―『アンドレ・ケルテスの見たパリ』;思考の星座―ブラッサイ『落書き』 ほか)
第3部 パリ写真の展開(報道か、アートか―カルティエ=ブレッソン;街路と演出―モード写真;カメラなき都市写真 ほか) ***

<パリ写真>の世紀 今橋映子著 都市の神話読み解く  千の眼、千の鏡のなかにパリは己の姿を映しだす。パリの闇にうごめく人々の生態を親密な眼差(まなざ)しですくいあげるブラッサイの『夜のパリ』、市庁舎の前でキスをかわす恋人たちのすばやい動きを情感豊かに定着したドアノーの写真、夕暮れ時の曇ったガラス窓の向こうに煙るようにかすんでゆくエッフェル塔をとらえたイジスの『夢のパリ』……20世紀はさまざまな〈パリ写真〉をつむぎだしてきた。  〈パリ写真〉とはなじみのない言葉だが、パリとパリ人、そしてその生活をテーマにした20世紀のストレート写真の総体である。19世紀の絵画的写真の枠組みを脱却し、鮮明で直接的な眼でダイナミックに移り変わってゆく大都市の多層的なトポスへ入り込んでいった、多くは外国人の写真家たちの仕事である。それらはある特別な都市の変遷を継続的に写し撮った記録という以上に、20世紀都市の表象となり、メディアや文学の動向と結びつきながら、世界がパリを感知し、理解するための土台となっていった。いわばイメージによるパリ神話をつくりあげていったわけだが、そのメランコリックな響きとは裏腹に、〈パリ写真〉の表現と思考は想像以上に複雑な文化的文脈に深く根ざしている。それらの根茎のような関係を膨大な資料から読み解き、パリ神話そのものを解体し、脱構築してゆこうというのが本書の試みである。  ロラン・バルトはかつてパリのすべての街角から1本の純粋な線として眺められるエッフェル塔が、実際には入り組み、交叉(こうさ)し、分岐した無数の線の集合でつくられていることへの驚きを述べた。〈パリ写真〉もまた多くの異邦人たちの視線のポリフォニーにより生みだされた類例のないイメージの結晶であり、集団的な想像力の痕跡であったことを、本書は精緻(せいち)な分析と強い情熱で実感させてくれる。 評者・伊藤俊治(東京芸術大学教授) / 読売新聞 2003.06.29(via:紀伊國屋書店)

学術書という分類もあってほどなく絶版。どの著作も大胆な仮説と、気合の入った調査での裏づけと分析は何度読んでも面白い。日本人がいつからか勝手に幻想をもっている ”パリ写真””パリの芸術家”とは全く違う活き活きと泥臭い芸術家の話。

8.03.2011

Masaru Tatsuki Tohoku 東北 田附勝


"DECOTORA" も有名な田附勝氏の新作『東北』
以前雑誌で東北のシリーズを見て以来、写真集になるのが楽しみでした。 地に足着いた根の太いプロジェクト。写真集としては買いやすい値段なのも良い。ストロボが作る影に住まう怪しさと、ストロボに照らされて焙り出される生命力。

Little More Books
タツキの東北、日本。」( Tatsuki’s Tohoku, Japan )
Masaru Tatsuki | OPEN SPACE | high fashion ONLINE
写真集インタビュー 田附勝『東北』 | Global Community of Photography
写真表現の総合情報ブログ:写真画報 新刊写真集インタビュー 田附勝『東北』

Amazon.co.jp : 東北 (田附勝写真集)

6.27.2011

畠山直哉展 Naoya Hatakeyama Natural Stories 東京写真美術館 Tokyo Metropolitan Museum of Photography Retrospective

畠山直哉展 "Natural Stories"
会 期: 2011年10月1日 ( 土 ) ~ 12月4日 ( 日 )
休館日:毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
(English Information)

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江成常夫写真展 ~昭和史のかたち
Tsuneo Enari - "Shouwashi no Katachi"(Shape of Shouwa Era)
2011年7月23日 ( 土 ) ~ 9月25日 ( 日 )

鬼海弘雄写真展 「東京ポートレイト
Hiroo Kikai - "Tokyo Portrait"
2011年8月13日 ( 土 ) ~ 10月2日 ( 日 )

6.02.2011

Le Bal - 6, Impasse de la Défense 75018 – Paris デュパルドンのパリの新しいギャラリー



Le Bal Official

RAYMOND DEPARDON(レイモンドデュパルドン)が新しく開いたギャラリー。ウェブサイトを見る限り、アノニマス、映画と写真といったようにこれまでもいい展示が開かれてきているようです。現在、高梨豊氏、北島敬三氏の展覧会が開かれています。

Tokyo-e (Yutaka Takanashi, Keizo Kitajima & Yukichi Watabe), Le Bal
20 May – 21 August 2011 (via:eyecurious)

展示の他作家によるレクチャー ワークショップ 本の出版 カフェも併設。デュパルドン氏の"写真文化”に対して何か貢献が出来ないかという意気込みを強く感じます。

北島氏の「写真特急便 東京」もLe Bal によって再版されます。




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海外をうらやましがってばかりいるのも悔しいですが、カフェや本屋、レクチャーも展覧会も写真に関係する活動が集約されたこんな施設、やっぱりうらやましい。場所は猥雑さと庶民的な雰囲気と移民が入り混じる、Pl.de Clichyの近く。