6.02.2011

Bruce Davidson: Subway Steidl Aperture ブルース・デヴィッドソン サブウェイ 再版!

(C)Steidl/Aperture


うれしい再版!版径が30センチX30センチになって正方形に近い形。印刷も向上してとてもいい本。80年代前半のニューヨークの地下鉄の様子を伝える117点の写真が収録。

edelman gallery : Bruce Davidson: On the Street Subway

カメラと一体になった写真家が、当時の地下鉄の車内を彷徨ってその眼前に見た風景をページをめくっていくことでそれを追体験しているような臨場感。現代写真の場合、写真を見てその写真が撮られた前提条件を知った上で楽しめるのですが、この写真集は地下鉄とニューヨークという前提さえあれば、誰に勧めても面白がれるものでしょう。

ジュリアーニ市長になって数年が経った90年代の中頃。治安回復の公約にのっとって、地下鉄の落書き撲滅の徹底を進めた結果、随分地下鉄の車両がきれいになっていました。とはいえ、深夜ライフルを持った武装警官が車両を警備、また大きなラジカセ(ゲットーブラスター)で音楽をかけている人もいて以前の地下鉄の雰囲気の名残がすこし残っていました。それからまた何年か経って、近年では地下鉄は一晩中運行され、女性でも一人で利用できる交通機関になりました。そのことについてニューヨーカー数人に話を聞いてみると(彼らはアーティストだったり教師ということを念頭にいれつつも)今のニューヨークは緊張しないで住みやすくなっていいのだけれど、当時の緊張感もニューヨークらしくてたまには懐かしく思う..と言っていたことを思い出します。


私も見たことの無い、でもニューヨークらしい80年代のニューヨークをこの写真集でみることできます。

Better Never Than Late!
Vectroave : Subway
マグナムフォトス : ブルース・デビッドソン Bruce Davidson
Steidl: Bruce Davidson

Amazon.co.jp : Bruce Davidson: Subway(アメリカAperture版)
Bruce Davidson: Subway(ドイツSteidl版)
Central Park
Bruce Davidson Photographs
East 100th Street

5.29.2011

Albert Renger-Patzsch アルベルト・レンガー=パッチュ メモ


Albert Renger-Patzsch (b.1897 Wurzburg)

新即物主義(New Objectivity)に関連したドイツの化学者/写真家。Die Welt ist schön (The World is Beautiful/世界は美しい)と名前は聞いたことがあるのですが、少し興味がでてきたのでこの人に関連するリンク、また彼の及ぼした影響に関連するリンクををまずはまとめておきます。

Wikipedia : アルベルト・レンガー=パッチュ
Wikipedia : Albert Renger-Patzsch

かなりのボリュームの写真が第二次大戦の爆撃によって失われているそうなので図版も少ないのでしょうか。思いついたときに随時追加していこうと思います。

Shane Lavalette : New Objectivity and the Optical Properties of Photographs
Zabriskie Gallery : Albert Renger-Patzsch (1897-1966) Photographs
ALBERT RENGER PATZSCH (1897-1966) Photographs
artnet:search for Albert Renger-Patzsch
Art Icono:Albert Renger-Patzsch(画像)
buerger forum: 5fotos von Albert Renger-Patzsch(画像)
Bruce Silverstein : Plant Abstraction(画像)

Amazon.co.jp : Albert Renger-Patzsch: Photographer of Objectivity
Albert Renger-Patzsch: Joy Before the Object

5.22.2011

Walker Evans: The Magazine Work (Steidl) : New Release Reminder



Steidlより Walker Evans 関連の新刊。表紙のタイポグラフィ使いのブックデザインがかっこいい。

Walker Evans: The Magazine Work by David Campany
Amazon.co.jp : Walker Evans: The Magazine Work

5.21.2011

Lee Friedlander MoMA リーフリードランダー 写真集 Friedlander Peter Galassi

(C)Museum of Modern Art

ロバートフランクが放ったアメリカ写真への大きな影響から、60年代以降ウィノグランドなどとともに各々の写真を発展させ、写真でやれることの可能性を拡げたLee Friedlander (b.1934 Aberdeen, Washinton)

2005年の初夏MoMAで開催されたPeter Galassi(ピーターガラシ)がキュレーションした 回顧展のカタログ。
6点のカラー写真(ジャズミュージシャンのポートレート)477点の白黒写真と元々多作な写真家であることからも回顧展は大規模なものになったようです。同年 Hasselblad International Award 賞を受賞。今も手に入れることが出来る展覧会のカタログ は、480ページ4センチ弱の厚さ。彼の作品が時系列、テーマ順に並べられシンプルに構成されています。印刷もこの価格にしてはなかなか美しいものです。



1960年代初期の作品には、ロバートフランクの影響が見えます。これらも素晴らしいのですが、彼の魅力はその自分が撮った写真の中にある要素(線、影、記念碑、写り込み etc..)を発見し、それが後に独立したプロジェクトとして撮影されシリーズとなっていっているという貪欲に循環していくプロセス。ピーターガラシによる前書きのタイトル "You have to change to stay the same" (同じでいるために変わらなければならない)が一言で実によく言い表しています。

一見なんの関係ももたない多種多様な被写体をテーマにしているかのようでいて、彼の写真を構成する要素だけを取り出してみてみると、あるいくつかの性質がシリーズを横断していることがわかります。「立体の平面化(2次元化)」- 例えば近くにある道路標識と背景にある空の雲が写真の上で関係性をもっているかのように平面化されている写真 外+車のミラー+車の中 距離の圧縮 またゆがみ
「直線の繰り返し」- 山や草、金網、労働者の使う機器のホース、窓、建物の壁など
「写り込みによるトリプル、ダブルイメージ」(*彼以前、写真の中に自分自身の影や窓への写り込みは写真のフレームから排除するものだった。)

850カットの写真が収録。一時期絶版になっていましたが、最近また私が買ったときより安くで出回っています。フリードランダーは"Self Portrait"のシリーズが有名ですが、それは彼の写真のほんの一部の側面に過ぎないことがよくわかります。

Masters of Photography: Lee Friedlander
Fraenkel Gallery : Lee Friedlander
James Kelly Contemporary
MoCP : Lee Friedlander
art-photo site:リー・フリードランダー(Lee Friedlander)プロフィール
ICANOF:リー・フリードランダーの写真(写真家の金村修氏の鋭いフリードランダー評)

Amazon.co,jp : Friedlander
Arrivals & Departures: The Airport Pictures of Garry Winogrand
Walker Evans: The Hungry Eye