1.18.2011

Alec Soth - Broken Manual アレックスソスの”ブロークンマニュアル”


1969年 米国ミネアポリス生まれの写真家のアレックス・ソス。アメリカ中西部を旅行しながら、どこにでもあるようなありふれた風景や、普通の人達を大型カメラで撮影して、抑えた語り口であるテーマについて写真を使って語るスタイル。同じアメリカの先人 Walker EvansRobert Adams からの影響を頻繁に述べている。

----

写真集を専門としたオンライン書店 photo-eye の毎年恒例 "THE BEST BOOKS OF 2010" でも6人もの選者 から推薦されたアメリカの写真家 Alec Soth の最新刊 "Broken Manual"

ある目的を達成するために方法を解説したガイドが”マニュアル”の定義だとすると"Broken" - 壊れたマニュアル (Broken Manual) とは何か矛盾していてその役目を果たすことができないはずです。カタログの表紙に"How to be alone (and loved by millions)" (独りになって、そして多くの人に愛される方法) と書かれているように、”ブロークンマニュアル” という写真で編まれた一編の物語は「世の中を捨てて隠遁生活を送っている人」がでてきます。

"Sleeping by the Mississippi" (この写真家が大きく評価された出世作) というシリーズに結実する旅、ミシシッピ川に沿って写真を撮りながら移動している途中で隠遁生活をしている人々に出会ったこと、また "Niagara" ハネムーンの目的地としてのナイアガラという場所に惹かれて撮影しにいったところ、ナイアガラは自殺の名所でもあるという事実に出会ったこと。

彼の "One picture leads to another"(一枚の写真が別の写真へと導く)という写真が導く次の取り組むべきテーマが結実したものがこの"Broken Manual" に結実しています。


さらに "Olympic Park Bomber" として知られるアトランタで二人殺した爆弾テロ犯 エリック・ランドルフ が計画を実行する前に、物質社会である俗世間から離れてアパラチアの山中に5年もの歳月潜伏していたことへの関心。そこからまた別の隠遁生活を送っていた *Lester B. Morrison という男との出会い。政治的な意図もなくただ(物質社会から)立ち去ることを目的にすごしていた彼をアレック・ソス は自分のオルターエゴだと考え、彼との共作として形になっていったのがこの”ブロークンマニュアル”と彼自身の言葉で解説されています。湾岸戦争の後のアメリカ社会への非常に複雑な考察が含まれたハードコアなものだということがみてとれるでしょう。

*Lester B. Morrisonが、ソスのオルターエゴどころか、ソス自身との説も。




写真集は 8X10のプリント付きが800ドル、300セットの‘Special Editions’限定版はすぐに完売。Steidl Verlag より普及版が10月の発売予定。

Broken Manual - Alec Soth Website
Fashion Magazine by Magnum マグナムのフォトグラファーによる ...
From Here to There: Alec Soth's America アレック・ソスのカタログ
Hyperallergic : Children of God by John Yau
5B4: Lost Boy Mountain by Lester B. Morrison
Youtube : lesterbmorrison's channel
 アレック・ソス、「ブロークン・マニュアル」展、シーン・ケリーギャラリー 

Amazon.co.jp : Broken Manual
From Here to There: Alec Soth's America回顧展カタログ - おすすめ
John Gossage & Alec Soth: The Auckland Project
Looking for Love, 1996

0 件のコメント:

コメントを投稿