(C)Thames & Hudson
William Egglestonの個展が品川・原美術館にて開催中です。会期は8月22日までです。
パリと京都はともに彼のホームグラウンドの外であるということで、日本とフランスという別の国であっても一連のシリーズと見ていいでしょう。
展示される点数として原美術館のwebには、(写真だけについていえば)パリから70点、京都から32点、ダイトランスファープリントの7点となっていますが、実際はパリから56点、京都から22点、ウィリアムエグルストンガイドからは予定通り7点と点数が若干減っていることがわかります。
今回展示されているものとしては
・パリはタイプC(通常のカラープリント)プリントだけのものと
・ドローイングと写真のペア。
・ドローイング単独
・京都はライトジェットプリントという高品位のデジタルプリントで比較的大型のプリント。
・1969-71年のダイトランスファープリントが7点
という構成。エグルストンの写真は被写体に何かの意味があって撮影しているのではなく、プリントにしたとき、印画紙にべったり(アメリカ南部の色のパレットを駆使し)載ってくる色を意識的に構成して、色そのものがもつグロテスクさが、アメリカのある時代とその地域性を示す力をもっています。
それに対してパリ・京都のシリーズではどうでしょうか。パリのシリーズでは中間色の淡い色、京都では文字をグラフィカルに構成、元々メンフィスでやっていたことをパリや京都でやってみようというのが発注として無理があったことは想像できます。
彼の写真の中で重要な要素、血のようなべっとりした赤が看板の地に使われています
ただし、さすがのエグルストンで、そんなパリと京都の写真でもフレーム(枠)に対して街にあるもの全て-ゴミでも傘立ても、忘れ物も、チラシも看板もすべて*1 "Democratic”に構成する力はまさにウィリアムエグルストンの真骨頂。
これまで包括的な個展がなされたことのない日本においては、今回の展示は異例。とても貴重な機会です。ただし、まずはWilliam Eggleston's GuideやLos Alamos: Los Alamos DEMOCRATIC FORESTといった彼の生涯の作品を代表する作品がみてみたかったのも事実。おそらく大人の事情もあるのでしょう。今後まとまって彼の作品をみれるのはいつになることでしょうか。
この後、ウィリアム・エグルストンのパリのシリーズは9月11日からHasselblad Foundationに移動して展示される。
それにしても原美術館は、相変わらず静かな環境の中、また足を運びたくなる空間でした。
*1:エグルストン彼自身の視線のアティテュードを最もよく示す有名なDemocratic Forestに収録された文章 Afterward from The Democratic Forest
William Eggleston in Conversation with Mark Holborn
0 件のコメント:
コメントを投稿