3.30.2010

Elliott ErwittのPersonal Bestの廉価版が再発

(C)Te Neues Pub Group; New edition

高額商品だったPersonal Bestが10分の1の価格になって再発売。
Elliott Erwitt - Personal Best

人や世界の善良な部分が多分にライカによって捉えられています。プレゼントにも安心な写真集。

Elliott Erwitt Official
マグナムフォトス:エリオット・アーウィット

Robert Koch Gallery:Elliot Erwitt "New York"

The Nature of Photographs Stephen Shore スティーブンショア


(C)Phaidon Press

アメリカの写真家、そして今、学校で教鞭もとるスティーブンショアがまとめた「写真とは?」という問いに対して丁寧にその構造を説明している良い本。

デザイン会社のウェブから書籍の内容のサンプル
no.1/no.2

公開されているレジメ(PDFファイル)でその内容が網羅されていますがこの本では美しい図録を具体的な例としてレジメの内容が展開されています。
そのレジュメを見ると、まず

・全ての写真は機械によるプロセスの産物である
・写真を”写真”として成立させる資質(qualities)を規定する

ことを前提としている。特筆すべきは、前半で”物理的な条件”として写真を成立させる要素を丁寧に説明していること。アサヒカメラで、写真家のホンマタカシさんも触れていて、それに対する氏の著作の”たのしい写真―よい子のための写真教室”とワークショップがそれに対する反応と実践といえそうです。

残念ながら今は英語版だけ。辞書があればある程度理解はできるかと思います。

Amazon.co.jp : The Nature of Photographs

3.28.2010

Kay Bojesen カイボイスンのカトラリー, Louis Poulsen ルイスポールセン

(C) Kay Bojesen

カイボイスンは1886年生まれ、特に19世紀にロンドンのV&Aで展示された木製のサルのおもちゃが有名で、デンマークのデザインに大きな貢献をした人物(銀細工師/デザイナー)です。

カイボイスンのいいポートレートと作品がひと目でわかる紹介ページ

Kay Bojesen カイ・ボイスン木製玩具 モンキー <S>
≪お徳価格のお試しセット≫カイボイスン テーブルナイフ・フォーク・スプーン 3本セット
カイボイスン ベビー3pcs カトラリーセット<つや消し仕上げ>




プロダクトデザインの名作 Louis Poulsen のペンダントライトも機能性と飽きないデザイン両方を満たした製品。デンマーク人になぜデンマークや北欧のデザインが洗練されているのか聞いた所、冬がとても長く、家にいることが多いのでいかに家で快適に過ごすか...そんなところから北欧のデザインは発展していったようです。




ルイスポールセン ( louis poulsen ) ペンダントライト照明「 PH5 PLUS 」


大きな地図で見る


コペンハーゲンにはプロダクトデザインの作品の展示、資料を集めたデザインミュージアムKunstindustrimuseet(Designmuseum Danmark) があって教育活動も活発。コペンハーゲンの観光地としても人気です。

Design at Design Museum さまざまなデザイナーの紹介(英語)
Kay Bojesen - Wikipedia, the free encyclopedia
Pottery.dk : Kay Bojesen

Pieter Hugo Roger Ballen:南アフリカ共和国で活動する写真家 Photographers South Africa


(C)Prestel

南アフリカの写真家 Pieter Hugo の写真集 The Hyena & Other Men は、すっかり手に入りづらくなりましたが、昨年秋にでたNollywood は今のところ定価で入手可能です。元々アルビノのことを知って調べている過程で知った写真家でしたが、一連の作品を見るとジェノサイド、またMESSINA / MUSINA のシリーズは例外として、悲惨な現状の画一的な告発を意図していないのが新鮮で、ユニークな被写体を捉えた社会的風景としてのポートレートが志向されているのが興味深いです。

南アフリカで映画産業に従事する人を捉えた最新作 "Nollywood" ではさらに被写体のポーズや衣装に効果を狙って意図的なセットアップがなされているのが見て取れます。


(C)Phaidon

スクエア(正方形)のフォーマットで南アフリカのポートレートというと、もう一人 Roger Ballen(ニューヨークで育ち) が挙げられます。Roger Ballen の写真では、現実には悲惨な状況に置かれたゲットーに暮らす人やそこにあるモノを、要素として構成してその現実をそのまま見せるのではなく抽象化しています。写真を見る者の目は、その均整の取れた構成の美しさに先にたどり着き(視覚が先行)続いてそこがどんなところであるか遅れて知る(頭での解釈)ことになります。

)


どちらの写真家の作品も一筋縄ではいかないものがあって、たまたま取り上げた写真家がある種捩れた表現をとっているのか、これは南アフリカという国や文化がそうさせるのか、今のところ咀嚼している段階。考えるためのヒントとして - これまで散々流布し目にしてきた大量のアフリカの写真に写っているものは、美しい風景、野生動物、そして戦争や人種差別を告発するドキュメントが主なところを占めていて、それを見る我々受け手の側は「見る前に」すでに思考や感情にあらかじめそのような写真に接したときにもつ感情や態度の「準備をしていた」ように思えます。


一度そんな余計な準備を取っ払ってやれば、Pieter Hugo "Nollywood" のポートレートが「悲しいアフリカ」ではなく「ある社会の構成員を写真に収めたポートレート」のプロジェクトだということに気付くでしょう。アフリカが記録された写真を見る目が、いつも同情を含んだシンパシーを伴ったものであるはずがないということ、そんなことを彼らの写真を通して知るきっかけになりました。

他にアフリカ大陸の写真家として、マリの写真家 Seydou Keitaの服装やヘアスタイルに多様な形が見られる記録となったポートレートや、このブログの投稿に反応していただいた Yumi Goto氏に教えていただいた Jodi Bieberや、Mikhael Subotzky もあわせてみておきたい。

なお、これまで書いてきた全てを裏切ることになるかもしれないが、Roger Ballenは1950年ニューヨーク生まれで1970年代から南アフリカに在住。Pieter Hugo はケープタウン生まれのオランダ系白人であることは一つの要素として入れたり、抜いたりして考えるためにも頭にはいれておきたい。少なくとも同じく南アフリカ人のウィリアム・ケントリッジの作品に見られる態度との比較を通して考えることも有効なように思えます。

PIETER HUGO - Photographer www.pieterhugo.com/
Yossi Milo Gallery - Artists - Pieter Hugo
世界のブログから / Pieter Hugo 「Permanent Error」展示概要 | my new ...
doms magazine:Photgrapher At A Glance - Pieter Hugo

Roger Ballen Photography www.rogerballen.com/
lens culture: Roger Ballen
Roger Ballen - Gagosian Gallery
Roger Ballen Foundation

p.a.r.k: Viviane Sassen - Flamboya ヴィヴィアン・サッセン
The Beautiful Struggle - Per Englund & Mlamli Figlan ケープタウン タウンシップ スタイルブック
William Kentridge: Five Themes - ウィリアム・ケントリッジ DVD付きカタログ

Amazon.co.jp : Pieter Hugo: Permanent Error
Pieter Hugo: Selected Works
Roger Ballen: Photographs 1969-2009 (Kerber PhotoArt)
Roger Ballen: Boarding House
Roger Ballen: Outland (Monographs)
Seydou Keita