(C)Prestel
南アフリカの写真家
Pieter Hugo の写真集
The Hyena & Other Men は、すっかり手に入りづらくなりましたが、昨年秋にでた
Nollywood は今のところ定価で入手可能です。元々
アルビノのことを知って調べている過程で知った写真家でしたが、一連の作品を見るとジェノサイド、また
MESSINA / MUSINA のシリーズは例外として、悲惨な現状の画一的な告発を意図していないのが新鮮で、ユニークな被写体を捉えた社会的風景としてのポートレートが志向されているのが興味深いです。
南アフリカで映画産業に従事する人を捉えた最新作 "Nollywood" ではさらに被写体のポーズや衣装に効果を狙って意図的なセットアップがなされているのが見て取れます。
(C)Phaidon
スクエア(正方形)のフォーマットで南アフリカのポートレートというと、もう一人
Roger Ballen(ニューヨークで育ち) が挙げられます。
Roger Ballen の写真では、現実には悲惨な状況に置かれたゲットーに暮らす人やそこにあるモノを、要素として構成してその現実をそのまま見せるのではなく抽象化しています。写真を見る者の目は、その均整の取れた構成の美しさに先にたどり着き(視覚が先行)続いてそこがどんなところであるか遅れて知る(頭での解釈)ことになります。
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どちらの写真家の作品も一筋縄ではいかないものがあって、たまたま取り上げた写真家がある種捩れた表現をとっているのか、これは南アフリカという国や文化がそうさせるのか、今のところ咀嚼している段階。考えるためのヒントとして - これまで散々流布し目にしてきた大量のアフリカの写真に写っているものは、美しい風景、野生動物、そして戦争や人種差別を告発するドキュメントが主なところを占めていて、それを見る我々受け手の側は「見る前に」すでに思考や感情にあらかじめそのような写真に接したときにもつ感情や態度の「準備をしていた」ように思えます。
一度そんな余計な準備を取っ払ってやれば、
Pieter Hugo の
"Nollywood" のポートレートが「悲しいアフリカ」ではなく「ある社会の構成員を写真に収めたポートレート」のプロジェクトだということに気付くでしょう。アフリカが記録された写真を見る目が、いつも同情を含んだシンパシーを伴ったものであるはずがないということ、そんなことを彼らの写真を通して知るきっかけになりました。
他にアフリカ大陸の写真家として、マリの写真家
Seydou Keitaの服装やヘアスタイルに多様な形が見られる記録となったポートレートや、このブログの投稿に反応していただいた
Yumi Goto氏に教えていただいた
Jodi Bieberや、
Mikhael Subotzky もあわせてみておきたい。
なお、これまで書いてきた全てを裏切ることになるかもしれないが、
Roger Ballenは1950年ニューヨーク生まれで1970年代から南アフリカに在住。Pieter Hugo はケープタウン生まれのオランダ系白人であることは一つの要素として入れたり、抜いたりして考えるためにも頭にはいれておきたい。少なくとも同じく南アフリカ人の
ウィリアム・ケントリッジの作品に見られる態度との比較を通して考えることも有効なように思えます。
PIETER HUGO - Photographer www.pieterhugo.com/
Yossi Milo Gallery - Artists - Pieter Hugo
世界のブログから / Pieter Hugo 「Permanent Error」展示概要 | my new ...
doms magazine:Photgrapher At A Glance - Pieter Hugo
Roger Ballen Photography www.rogerballen.com/
lens culture: Roger Ballen
Roger Ballen - Gagosian Gallery
Roger Ballen Foundation
p.a.r.k: Viviane Sassen - Flamboya ヴィヴィアン・サッセン
The Beautiful Struggle - Per Englund & Mlamli Figlan ケープタウン タウンシップ スタイルブック
William Kentridge: Five Themes - ウィリアム・ケントリッジ DVD付きカタログ
Amazon.co.jp : Pieter Hugo: Permanent Error
Pieter Hugo: Selected Works
Roger Ballen: Photographs 1969-2009 (Kerber PhotoArt)
Roger Ballen: Boarding House
Roger Ballen: Outland (Monographs)
Seydou Keita