10.03.2011

ダイトランスファー・プロセス プリント Dye-transfer process




東京都写真美術館の技法解説によると、ダイトランスファープリントとは1950-90年代まで用いられた写真原稿の印刷技法。概要は以下のとおり。

”カラー写真を三色分解して、画像をレリーフでつくったマトリクスと称される支持体に染料を染み込ませ、専用の紙などに転染してカラー写真をつくる方式。クリアな発色と保存性にすぐれているとされ、カラー作品のオリジナル・プリントを制作する技法として使われたが、公害問題が発生し現在は行われていない。”
(東京都写真美術館 : 技法解説 より転載-引用リンク先ホームページより消滅)

ウィリアム・エグルストンや、アーヴィング・ペン、それに映画監督 ヴィム・ヴェンダースの写真作品、NASAの記録写真が、ダイトランスファープロセスでプリントされていて、Chromogenic print発色現像方式印画、あるいはタイプC - フィルムネガからのカラープリント)に比べ、色が濃密で、発色に大きな違いがあ技法を文章で理解するより、上の動画でその様子を見ると理解も早い。

なお使用している薬剤が強いため、ダイトランスファーで刷られたプリントを保管する際、他のプリントに害を及ぼすために、きちんと額にいれて密閉するなど保管については専門家に相談するなど、十分注意する必要がある。 

保存など各種写真技法については、ベルトラン・ラヴェドリン著 「写真技法と保存の知識」(青幻舎)が大変有用な本。

 2017年7月19日(水)写真保存の第一人者 ラヴェンドリン氏の『写真技法と保存の知識』 | 株式会社 資料保存器材

他の写真プリント制作プロセスについては下記のParis PhotoのGlossaryページにまとめられている。Dye(染料)とついた名前のもの、つまり化学反応ではなく染料を定着させるプロセスに、スライドフィルムをプリントするときの Dye destruction(ダイデストラクション 銀色素漂白方式印画 またはチバクローム  染料+損壊 や、ポラロイドフィルムのパックに入っている染料が拡散して絵になる Dye Diffusion(ダイ・ディュージョン 染料+拡散)がある。英語でも色んな呼称があり、日本語でも時代やメーカーによって呼称がいくつかあってややこしい。

ちなみにデジタル以降、広く使われている銀塩の紙にデジタルで露光するラムダプリント(Lambda C-type)も、タイプCと表記されてい

知恵袋 - 写真の現像におけるダイトランスファーという技術はどのようなものですか ... 
Dye-transfer process - Wikipedia
Dye Transfer Printing
Platinum print プラチナプリント

Amazon.co.jp : Full Moon
Los Alamos - William Eggleston
写真技法と保存の知識

10.01.2011

『風の旅人』 最新号 vol.44 まほろば SUPERPOSITION 休刊

『風の旅人』 44号 FIND the ROOT 此岸の際 まほろば SUPERPOSITION
川田喜久治、大橋弘、濱谷浩、鬼海弘雄、エルデンダライ・アロハン、中野正貴、劉敏史、小林正典

2011年09月30日 18:22 風の旅人の休刊について
渋い内容の本でしたが、なかなかあんなふうに写真が掲載されている雑誌はありません。一度途絶えても既刊は捨てられないで本棚やダンボールの中に残っていく雑誌。

風の旅人 vol.44
Amazon.co.jp : 風の旅人

Mariko Shindo 進藤万里子 "Bibo" 蒼穹舎 『 bibo – SP KL TK – 』 ツァイト

進藤 万里子 Mariko Shindo(b.1980 Tokyo)

ナディフに ”高松次郎 言葉ともの ―純化とトートロジー” を見に行ったときにみつけた新刊。10月1日発売ということで、今日出たばかりの本。何が写っているのかわからないのですが、モノクロでスナップした街の部分ではあるようだけれども、ただれた染みの様。ネットで調べてもよくわからなかったのですが、ちょうど写真展がツァイトで開かれるようで楽しみに見に行ってみたいと思います。

進藤 万里子 写真展 『 bibo – SP KL TK – 』 2011/10/08~2011/11/05 ツァイト・フォト・サロン
Bio : 進藤 万里子 Mariko Shindo(via Zeit-Photo)
蒼穹舎
mariko Shindo "bibo" Mar.28-Apr.26, 2006 進藤万里子 作品展 "bibo" 都市のブログ
横浜市民ギャラリー : III. 現代の写真表現

Hiroh Kikai 鬼海弘雄 Tokyo Portrait 東京ポートレート



恵比寿の東京写真美術館の鬼海弘雄氏の「東京ポートレート」の会期が終わりました。元々写真を本や雑誌でよくみて知っていたので、見る前はそれを確認しにいくつもりでいったのですが、実際写真展でみるとこれはいい展示でした。本の印刷でも鬼海氏に撮影された人物の様子はわかるのですが、やはりプリントの立体感で見ると全く違う。一人ひとり目線をこちらに向けている被写体と向き合うと人物の風貌や身につけているもの、そのディテール、目。

長い壁を使って途中額のサイズを変えたり、プリントの大きさを変えてリズムに変化をつけながらも、基本的に同じ額にいれられ横に並べられたポートレートを次々見ていくと、撮影場所の浅草、その性別や職業や年齢、一切の記号がぼやけて、続けて彼らが存るというその存在だけがむき出しになって圧倒しにかかってくる。そんな感覚を味わった展示でした。途中に東京迷路(Tokyo Labyrinth) も20点ほどあって満足した展示でした。

鬼海弘雄 - Wikipedia
鬼海弘雄写真展 - 東京都写真美術館 東京ポートレート
鬼海 弘雄 | Fotonoma The Photographer

Hiroh Kikai - Wikipedia, the free encyclopedia
lens culture: Hiroh Kikai
Interview with Japanese photographer Hiroh Kikai - lens culture ...
Hiroh Kikai “Persona” // Japan-Photo.info

Asakusa Portraits, Hiroh Kikai - Steidl

この展覧会のカタログは展示に準じたもので東京迷路も入っていて、価格もリーズナブル。Steidl/ICP が出版した"Asakusa Portraits"はサイズもそこそこ大きく、なにより印刷も紙も良質です。

Hiroh Kikai: Asakusa Portraits (Steidl)
ぺるそな
東京ポートレイト
東京迷路―鬼海弘雄写真集
PERSONA