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1.23.2014

James Charles Castle ジェームズ キャッスル


(C)Yale University Press

アイダホ州の深く入った田舎(Garden Valley, Idaho)に住み、独学で試行錯誤しながら作ったものが亡くなったのち30年ほどあとに美大生の甥によって発見されたJames Castleの作品。ネットを頼りに作品の画像を探すと、ドローイングあり、文字(タイポグラフィ)だけで画面を組んだ作品、ダンボールなど身近にあるものを組み上げて作った立体造形、アッセンブラージュといえるもの、本そのものが作品である私家版の本など色んなスタイルが混在しつつも、彼のものによるというのがひと目でわかる。

産まれながらにして耳が不自由で音をきくことができなかったが、食品の空き箱に、インクに煤(すす)混ぜてつくった顔料で室内や風景、動物など身近な物を描き続けた。 

"アートの世界について知らなかったにも関わらず、彼は20世紀の芸術の進展と並走して作品を制作した" とWikipediaの解説にもあるが、ドローイングや絵画の本質を誰かに教えられるわけでもなく、自ら制作することでそこへの到達を成し得たといえる。


James Castle | Greg Kucera Gallery | Seattle
Meanders.: james castle.
Artnews.org: James Castle at Karsten Greve Paris
Boise Art Museum - Specimen PreTour

James Charles Castle - Wikipedia, the free encyclopedia
James Castle
James Castle on artnet
James Castle: Portrait of an Artist - YouTube

Amazon.co.jp : James Castle: A Retrospective (Philadelphia Museum of Art)
James Castle: Show and Store

2.12.2012

MICHAËL/MICHAEL BORREMANS ミヒャエル・ボレマンス 画家


 
製作風景、ドローイングの位置付け、プロフェッショナルの画家であることについて、ヴェラスケスからの影響
アーティストを もっともよく紹介している映像。ギターを弾いて歌うシーンもあり、音楽は生活の一部になっている



Michaël Borremans (b.1963 ベルギー・ヘラーズベルヘン)

Zeno X Gallery - Michaël Borremans
Michaël Borremans at David Zwirner (Contemporary Art Daily)
David Zwirner » Michaël Borremans
Michaël Borremans - SMAK

フラマン語圏(オランダ語の一種)のベルギー人。元々は写真を学び、90年代中頃(30歳の頃)に絵画に取り組み始めたアーティスト。もっとも大きな影響を受けた画家としてディエゴ・ベラスケスを挙げている。ヴェラスケスなど近世以降の画家の描き方に倣い、何かの作業をする人、物思いにふける人など日常のありふれた様子を描いているものの、社会でどのような生活をして生きている人なのか推測できないような記号を剥がれた肖像、人々が取り組む作業の目的や、その場所はどこなのか..全て曖昧にされ、建物に対して人は大きく、建物のように見えるものは模型のようにもみえ、背景と人物の大きさがねじれている。そして、そもそも絵に描かれた人物は生きているのか死んでいるのかすらもわからない。

元々、聖書のエピソードを伝える為に、また王侯貴族や、資産家などのパトロンの依頼で描かれる絵画は実用的な目的を担っていた。(近現代になり特にプロテスタントの国々、地域では、次第に絵画が画家の純粋な表現として描かれるようになった。)

ボレマンスの絵に向き合うと、その描き方のスタイルなどもあって、鑑賞者はモチーフとなっている人物や動作になにか重要な意味があるのではないか - それを読み取ろうと集中することになる。ところがいくら見てもその表面には描かれたものを説明する記号はなく、鑑賞者はなんの解釈にも行き着かないその状態のまま宙ぶらりんになる。そこに彼の絵の魅力を起動する仕掛けがある。

絵画のほかに立体造形、映像の制作も。日本では2008年にギャラリー小柳で個展 "Earthlight Room" 2011年には、横浜トリエンナーレで数点の作品の展示があった。

元々彼の祖父が写真家で小さい時から暗室作業などを見てなじみがあり、何かヴィジュアルを扱う仕事を将来やろうと思っていたのだそう。のちに写真家、その後独学で画家となるが、今でも制作はモデルを写真に撮影してから描いており、プロセスの中に写真家であったときの経験が活かされている。一番上のYoutubeのリンクにある約1時間のドキュメンタリ"knife in the eye"がこのアーティストについてよく語っている。

比較として同じベルギーのアーティスト リュック・タイマンスへの連想も言われるが、Marlene Dumas とも共通する印象を(ある限定的な部分でだが)受けた。他にスペインのアントニオ・ロペス・ガルシア やデンマークのヴィルヘルム・ハンマースホイ など写実的絵画といっても克明に描くだけでなく、それぞれの作品が指し示す象徴された対象はさまざま。

MICHAËL BORREMANS ミヒャエル・ボレマンス 原美術館 アドバンテージ The Advantage 展

The Ember : Michael Borremans - A Victim of His Situation
ART iT: ミヒャエル・ボレマンス インタビュー
Interview: Michael Borremans - Features - Art in America (映像作品についてのインタビュー)
the secret charms of the enigma essay by Stefan Beyst
Michaël Borremans - Wikipedia, the free encyclopedia

Amazon.co.jp : Michael Borremans: Eating the Beard
Fire from the Sun (Spotlight Series)

2.05.2012

Wilhelm Sasnal ヴィルヘルム・サスナル (Contemporary Artists) Phaidon

"It Looks Pretty from a Distance" (by Anka & Wilhelm Sasnal) from Anton Kern Gallery on Vimeo.

Wilhelm Sasnal(b.1972 Poland)
TOK.FM.PL : Wilhelm Sasnal
wilhelm sasnal | Tumblr

ポーランドの若い世代の注目人物。日常身の回りのありふれたものや、スナップ写真から着想を得た絵画、また近年映像作品も制作している。日本では2010年東京南青山のラットホールギャラリーで個展が開催。


1989に民主化、1993年のソビエト連邦駐留軍の撤兵。多くのポーランドの作家の作品には、直接モチーフとして政治を扱っていなくてもぼんやりとした不安や、ホロコーストへの加担を連想させるものが多く見られるが、30代後半、ポーランドで生まれ育ったこの作家にとって、ポーランドの歴史がどのように関係しているのかいないのか。また後ほど詳しく見ていこうと思う。

artnet : Die Camouflage der fehlenden Erinnerung
artnet : SHADES OF GRAY by Robert G. Edelman
Wilhelm Sasnal @ Whitechapel Gallery | everydaylife.style
RATHOLE GALLERYWilhelm Sasnal展 「16mm films」 | Web ...
Wilhelm Sasnal - Wikipedia, the free encyclopedia
Artists — Wilhelm Sasnal — Biography — Hauser & Wirth
The Independent : Wilhelm Sasnal, Whitechapel Gallery, London
ARTiT : 速度とは単位時間当たりの位置の移動 インタビュー・文/アンドリュー・マークル
AnOther : Art Talks | Wilhelm Sasnal at the Whitechapel Gallery — October 11, 2011 —
Filmoteka of the Museum : Wilhelm Sasnal -Anarchy
p.a.r.k: PARKETT EDITIONS パルケットエディションズ 美術誌
WILHELM SASNAL Parkett 70 – 2004(PDF)

Amazon.co.jp : Wilhelm Sasnal (Contemporary Artists)
Wilhelm Sasnal
Vitamin P2: New Perspectives in Painting
Parkett (The Parkett Series)

12.17.2011

Raymond Meeks レイモンド・ミークス ポートランド在住の写真家

作家が全てにコントロールを及ぼしかつ大量に印刷することができないものがアウトプットとしてどうしても必要であれば、自分で作るしかない、といった私家版で本の形態をとった作品を出し続けるポートランド在住の作家。私的かつ、ナレイティヴに編まれることで作家本人だけに限定されないひろがりが本から見て取れます。静かな写真像でありながらも、時々何が起きたのかわからない(もしくは何も起きていないのに)ドキッとさせられる写真が混ざっていて今週気にいってウェブサイトをずっと見ていました。

Raymond Meeks Website
Conversations about Photobooks: Raymond Meeks By Joerg Colberg (Feb 17, 2011)

インタビュー興味深かったのでまたまとめたいと思います。出版社からの写真集は出ていないのかなと思ったら、2004年にNazraeliから"Sound of Summer Running"というタイトルで出版されています。(so books - 7235 Meeks, Raymond (レイモンド・ミークス))

Raymond Meeks « Alec Soth's Archived Blog (6 Oct 2006)
Orchard : a series of collaborative journals from Raymond Meeks
Oregon Live.com : Review: Portland photographer Raymond Meeks at Charles A. Hartman Fine Art
landscape Stories : Raymond Meeks Not Surprised at the Force of the Storm
photo-eye Gallery : Raymond Meeks
Ampersand : RAYMOND MEEKS "Goat Run Sycamore" March 31 to April 24, 2011

Amazon.co.jp : Sound of Summer Running - Raymond Meeks

7.27.2011

Vladimir Velickovic ユーゴスラビア ベオグラード 画家



Vladimir Velickovic (b.1935 Belgrade ベオグラード ユーゴスラビア) フランスを拠点とする画家。

フランシスベーコンやウィリアムブレイクを連想するものの、それとはまた違う一度見たら忘れない画風。この絵(Cible fig. II)をカタログで見たのですが、ある動作が描くストロークを線に取り入れているという解説がつけられていて、以前ブログで紹介したマイクマンデルの"Making Good Time"のアイデアとの偶然の繋がりが興味深いです。Wikipediaで知ることのできるプロフィール以上のことはわかりませんでしたが、アメリカ、ヨーロッパでその作品が1951年以来展示され続けている重要な画家のようです。アーカイブしておきます。

Vladimir Velickovic - Wikipedia, the free encyclopedia
Vladimir Velickovic Official Site

Artween TV Vladimir Velickovic Sa peinture (インタビューの動画/French/English)
Vladimir Velickovic - Galleri GKM
Vladimir Velickovic original prints, lithographs and etchings on ...(素描などの画像)

日本では国立新美術館の杮落し「異邦人(エトランジェ)たちのパリ 1900 - 2005 ポンピドー・センター所蔵作品展」で作品が展示されていたそうです。

2.05.2010

Gerhard Richter: Atlas ゲルハルト・リヒターのアトラス


リヒターによって1945年から収集され分類され配置された画像のリスト。収容所の写真や、家族の写真、街の風景、森林、山、ポルノグラフ、花、雑誌からの切り抜きや広告写真など膨大なイメージの集積。

リヒターのウェブサイト:Gerhard Richter:Atlas

このアトラスという膨大な写真のカタログは画家にとってどんな意味を持つのか。WAKO WORKS OF ART が出版した『Gerhard Richter ゲルハルト・リヒター. "アトラス"』やリヒターの研究者 清水穣氏の著作が参考になりました。付けられた日付の重要性、ドイツの歴史。フォトペインティングからグレー、アブストラクトペインティングへ。

”One only makes a photo to make a photo,and if you're lucky,
you will discover it later for a painting" (Gerhard Richter)



Google Images : Search for "Gerhard Richter : Atlas"
ART iT Online Store: ゲルハルト・リヒター アトラス
Gallery Tagboat : 世界を映し出す美しい鏡
魯祐の巻物:ゲルハルト・リヒター展 – Gerhard Richter, National Portrait Gallery, London
浅田彰”「歴史以後」のアトラス”(via:http://www.kojinkaratani.com/)
Germany’s Gerhard Richter and the Atlas Project: A Perpetual Engagement with ‘the Archival’
中井 貴子 takako nakai「ゲルハルト・リヒター ATLAS」展

Amazon.co.jp : Gerhard Richter: Atlas
Gerhard Richter. Atlas
Atlas: Of the Photographs Collages and Sketches
ゲルハルト・リヒター写真論/絵画論
GERHARD RICHTER ゲルハルト・リヒター (DVD付)