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10.07.2011

Magnum Photographer Paul Fusco talks to CNN about Chernobyl


Magnum Photographer Paul Fusco talks to CNN... 投稿者 BeyondPixBroadcast


(ジャーナリスティックな)写真が世界を変えることができるか、時折出てくる命題ですが、マグナムの写真家 ポールフスコ (Paul Fusco)は現在日本で起こっている状況を見ていらだちながら自分に問いかけているようにも見えます。この"Chernobyl Legacy"(チェルノブイリの残したもの)というシリーズを以前見たときには、ショッキングなものを見せつけるジャーナリスティックな写真の暴力的な面にばかり気をとられていたのですが、少なくとも現実に起こったことを正確に記録することができる写真を、今現在起こっている類似した事例(福島第一原発事故)に直面している我々に突きつけられると、なるほどこういう力が写真にはあるのかと考えるようになりました。

とはいえ、再生された回数、現在のところ148回。そんなものかとも。私自身もこんなことが日本で起こる可能性があるなんて想像することすら抵抗はあります。

Magnum In Motion : Chernobyl Legacy
Paul Fusco's Chernobyl Legacy Book

1.21.2011

Wout Berger ワウト・ベルハー(バーガー) A Poisoned Landscape

Wout Berger (ワウト・ベルハー b.1941 オランダ)

風景のアーキタイプ -柴田敏雄の「日本典型」シリーズへ- 【伊藤俊治(1998 Vision Of Japan,Shibata Toshio)】を読んでいてみつけた名前。初めて見る名前だが、写真を見た記憶が。なるほど以前見たカタログ 東京都写真美術館の'Critical Landscapes'(「発言する風景 クリティカル・ランドスケープ」)) (1995)で展示していたことがわかった。また2004年に L'Insensé;, Maison Louis Vuitton, Roppongiにて、日本では合計2回展示があった。

彼のサイトではコミッションワーク、そしてメインのプロジェクト "A Poisoned Landscape"など数点のイメージを見ることが出来る。

Brighton Photo Biennial 2010 : Wout Berger Exhibition: BPB Curated: New Ways of Looking

Donald Kuspit"Toshio Shibata”Art Forum International(COPYRIGHT 1993 Artforum International Magazine, Inc.COPYRIGHT 2008 Gale, Cengage Learning )

flotsam books : WOUT BERGER : ヴァウト・ベルハー写真展
WOUT BERGER : GIFLANDSCHAP POISONED LANDSCAPE
Amazon.co.jp : Wout Berger: Like Birds
VISIONS of JAPAN SHIBATA Toshio

9.26.2010

Photo Critic Must Title 18 (Studio Voice 2004 vol.337) 写真について書かれた著作のリスト



2004年1月号のスタジオボイス(pg.64-65)の"Photo Critic Must Title 18"が渋いセレクションなのでこのポストにアーカイブしておきます。雑誌上では編集部選、研究者の日高優氏の選んだものが混ざっているをここでは(よりわかりやすく見渡すことができるので)分けて羅列しておきます。

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スタジオボイス編集部選

まずは写真ついて書かれた本の古典から
複製技術時代の芸術 (晶文社クラシックス)
明るい部屋―写真についての覚書
アメリカ写真を読む―歴史としてのイメージ

日本のベテラン写真評論家の著作から
20世紀写真史 (ちくま学芸文庫)
私写真論
なぜ未だ「プロヴォーク」か―森山大道、中平卓馬、荒木経惟の登場 (写真叢書)

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日高優選

写真論
American Photography
オリジナリティと反復―ロザリンド・クラウス美術評論集
消滅の技法
写真の哲学のために―テクノロジーとヴィジュアルカルチャー

そして日本の批評家の著作物からは
中平卓馬の写真論
写真論集成 (岩波現代文庫)
予兆としての写真―映像原論
視線の物語・写真の哲学 (講談社選書メチエ)
身体と空間
反写真論 (フォト・リーブル)
写真、時代に抗するもの (写真叢書)

以上2004年までに発売されているものからのセレクト。その後も沢山の本が書かれていますし、またひとくちに"写真”といっても幅広く、どの時代のどの写真のどんな側面に興味があるかによって本の選択も変わってきますが参考までということで。絶版になっている本も出てきているのでブログに書いて人の目に触れることによっていい本が復刊されるきっかけにもと思います。
個人的には現在群馬県立女子大学で教鞭に立たれている日高優氏のアメリカの70年代の写真についての短い記事を最近読んでそれがよかったので、現代アメリカ写真を読む―デモクラシーの眺望を手にとってみようと考えています。

Top 10 photography essays « eighteen39

Amazon.co.jp : 反解釈 (ちくま学芸文庫)
図説 写真小史 (ちくま学芸文庫)
現代アメリカ写真を読む―デモクラシーの眺望 (写真叢書)

8.20.2010

Raghubir Singh 70年代にカラー写真による作品を制作したインドの写真家

(C)Phaidon

アメリカのWilliam Egglestonは、芸術写真といえばモノクロだった時代に、カラー写真をアートの世界に持ち込んだ先駆者の一人として考えられていますが、文脈は違えど同時代にインドにもそんな写真家がいました。

学生の頃にHenri Cartier-Bressonの"Beautiful Jaipur"という写真集を見て感銘を受けたRaghubir Singh(b.1942 インド・ジャイプール)
という男。すぐに大学をドロップアウトして、写真に真剣に取り組むようになります。

Photography-Now:Raghubir Singh
Wikipedia:Raghubir Singh

彼の最初の写真集"Ganges"が出版されたのが1974年のこと。アメリカのWilliam Egglestonが初めてのポートフォリオ”14 Pictures”を制作したのも同じ1974年。

インドとアメリカ。共にアンリ・カルティエ・ブレッソンに影響を受けて写真を始めた二人がカラー写真の新しい歴史を作っていくこととなりました。

一番入手しやすいのが最後の写真集 A Way into India(Raghubir Singh)

パリに長くいたとのことで、異邦人の目でインドを見ている視点。なんだか Lee Friedlanderが運転する ”America By Car”の車でそのままインドまでいっちゃったようにも見え並べてみると面白いです。

Raghubir Singh Official

8.11.2010

James Mollison - Where Children Sleep (ポートレート・ジャーナリズム)



James Mollison(b.1973 Kenya) ケニア生まれのイギリスの写真家。

最新作は世界の子供部屋とその子供部屋の持ち主の子供達のポートレート。下記のブログにいい記事があったのでそちらを参照を。

Designworks:世界は平等ではない。各国の子どもたちの寝室の写真集「Where Children Sleep」

彼のウェブサイトを見ると他のプロジェクトを見ることができますが、そのイメージの制作の技量と多彩さ、コンセプトの明快さ、また社会性を伴った作品はなかなかの質量です。

James Mollison Official



The Disciplesというシリーズでは、いろんなコンサートに集うファンのポートレート。作品にはそのライブの演者Oasisだとか50 centといった名前がタイトルにつけられています。
The Memory of Pablo Escobar.ではファウンドフォトの手法を使い、Cocoa Pickersというシリーズではカカオをピックアップする生産者のポートレートを白布の背景の前で。

ベネトンのクリエイティブ部門を担当するFabricaにて雑誌Colorsに寄稿もしているということで、社会的問題を人の着衣、姿形を通して考えるための作品を作っていることがわかります。

4.21.2010

菊池修 写真集 MONSTERと、(日本の)ドキュメンタリ写真のアップデート?

(C)リトルモア

資料があまりなく、写真集を見た上でしか書けませんが、またいつものように自分の都合のいいように解釈したいと思います。今日見たのはこの写真集。

菊池 修 写真集 MONSTER

この写真集はノンフィクション/エッセイにカテゴライズされている。

菊池修氏は、戦場で撮影しているカメラマンとのことですが、このシリーズは戦地ではなく日本にいるHIV陽性のゲイの方に、海外からの仕事の依頼がきっかけとなって出会って撮影するところから始まる。

この写真集には長期に渡って撮影された写真が収録されているため、被写体も時間とともに変わっていくのが見れるが、撮影者である菊池氏の被写体に対する向かい方(距離感ではない)にも変化が生じていることが見て取れる。

それは自分を写真に写しこむようなことがないようでいて、あるような(スナップショットの手癖)未分化の状態から、縦位置のポートレートになると被写体に丸腰で飛び込んでいっているようにも見える。

私自身は、写真という手法においてのドキュメンタリーを特別視もしないし、強い関心があるわけでもない。興味をもった写真がドキュメンタリであってもいいし、なくてもいい。

ただ旧来の例えば70年代頃の公害をテーマとして扱ったドキュメンタリなどにはなんだかいまだに嫌悪感を引きずっているからこそ、この菊池修さんのドキュメンタリを軸とした写真は興味がひくものだった。書店などでぜひ手にとって、買うのがもったいないようであれば図書館にリクエストをだすのもいいかもしれない。

『菊池修写真集 MONSTER』~共に居るということ
写真集の狩人:HIV感染者の7年の実録 「MONSTER」 菊池 修写真集 (リトルモア・3200円+税)

*余談だが千葉日報のこのシリーズのマリオジャコメリの回で”痛撃の念写”というタイトルがつけられているが”念写”といまだに書いてしまうことはいかがなものだろうか。

3.21.2010

Simon Norfolk - Afghanistan サイモン・ノーフォーク

又聞きで申し訳ないが、ある雑誌のインタビューで彼は...戦争写真はちまたに溢れていて、それを見た人はあぁまたかといって写真をじっくり見る前に次のページをめくってしまう...といった趣旨のことを話していた。

イギリスの写真家、サイモン・ノーフォーク(Simon Norfolk)

"Afghanistan"というタイトルから彼の写真に出会ってしまうと、あまりにも最初から意味を限定し”あぁまたか”と思ってみる気も失せてしまいそうになるが、彼のサイトでも見ることができるその写真は、その写真が撮られた"意味"を知るより早く、まずその美しい写真に目が奪われる。ドキュメンタリ写真が現実を反映するために美しくある必要はもちろんないが、逆に写真としての美しさを考えないでいいわけがない。

サイモン・ノーフォークの写真への興味が長い間持続するのは、彼が撮った被写体の意味ゆえではなく、まず美しい”写真”であることがまず第一にある。写真を眺めているうちに "アフガニスタンでいったい何があったのか" その事実が遅れて切りつけにもやってくる。彼の写真は、能動的に見ることに参加させ、見る人の関心を引き出し、理解させる、そんな装置として機能している。

Photography-Now : Simon Norfolk
[youme.2010] 人は人 我は我なり されど仲よき哉日誌
「能動的に見られる、関心を引き出す、理解する」、そして社会的な広がりをもたせること。
Tate Modern :Burke + Norfolk: Photographs From The War In Afghanistan

Amazon.co.jp : Afghanistan
Bleed
For Most of It I Have No Words: Genocide, Landscape, Memory
Burke + Norfolk: Photographs from the War in Afghanistan

1.31.2010

"RFK" Funeral Train Paul Fusco (ポールフスコ) ロバート”ボビー”ケネディの葬列を送るアメリカ人

(C)Aperture

1930年生まれのアメリカ人・ポールフスコのあまりにも有名な"RFK"というケネディの葬列電車のシリーズ。何かで読んだ記憶によると、暗殺されたロバート・ケネディの棺をニューヨークからワシントンのアーリントン墓地に運ぶ葬列電車に乗り込んだそのカメラマンは、棺やケネディの家族(読者目線)を撮りたかったにも関わらずそれがかなわず、電車の窓の外に見えるロバート・ケネディ(愛称"Bobby") を見送る人々を7時間にわたって写真の中に記録することにして出来上がってきた写真は、なんともアメリカの多様性を表した大きな記録となったということでした。


この写真がどのようなメカニズムで特別なものになっているのか...

ロバートケネディ=被写体(人々の関心を集める対象)
ケネディを見送る人々=読者(写真のフレームの外/セレブリティなどに関心を向ける主体)

カメラマンは、この両者の中間にいる職業。どちらにカメラを向けるか。ケネディの遺族にカメラを向けられていたならば、見送る人々がどんな様子だったかこのような形で知ることは出来なかったのですが、フスコは線路沿いにいる人々にレンズを向けたことで、実はロバートケネディのこともより雄弁に写真に語らせることに成功しています。フレームの外にある事柄を指し示すことに長けている”写真”というメディアの特性がここに現れています。

また福島での原発事故以降、再び注目を集めることとなった "Chernobyl Legacy"というチェルノブイリの周辺地域のその後を取材したシリーズ。チェルノブイリの吐き出した放射性物質の2倍とも7倍とも10倍ともいわれている福島第一の事故。原発事故ということで単純に比較することはできませんが、その渦中にいることは確実です。

5B4:RFK Funeral train
New York Times:R.F.K., R.I.P., Revisited
Digital Journalist:June 8, 1968 by Evan Thomas
Paul Fusco Official
マグナムフォトス:ポールフスコ
チェルノブイリ・スリーマイル・福島の比較 - NAVER まとめ

Amazon.co.jp : RFK
Chernobyl Legacy

9.01.2009

Nadav Kander - ナダフ・カンダー 日本であまり知られていないが、著名で重要な写真家


(C)nadav kander

あまり日本では知られていませんが数々の受賞歴をもつテルアビブ生まれ、イギリス在住の写真家。

Wikipedia:Nadav Kander

彼のウェブサイトで作品を見ることができます。

あまりにもクリーンで純度の高いイメージでどう撮ってるのかわかりませんが、イギリスを代表する重要な写真家としてこれからも活躍していくことでしょう。フィールドはファッション、エディトリアル、ファインアートと多岐に渡ります。最新作はアメリカ大統領オバマのブレーンを撮ったポートレートで"Obama's People"というシリーズ。

写真集は”Nadav Kander Beauty's Nothing ”一冊のみで、元々の定価は6,000円くらいだから非常に高くなっています。