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6.15.2010

8月22日まで ウィリアム・エグルストン パリ-京都展 原美術館

(C)Thames & Hudson

William Egglestonの個展が品川・原美術館にて開催中です。会期は8月22日までです。

パリと京都はともに彼のホームグラウンドの外であるということで、日本とフランスという別の国であっても一連のシリーズと見ていいでしょう。

展示される点数として原美術館のwebには、(写真だけについていえば)パリから70点、京都から32点、ダイトランスファープリントの7点となっていますが、実際はパリから56点、京都から22点、ウィリアムエグルストンガイドからは予定通り7点と点数が若干減っていることがわかります。

今回展示されているものとしては

・パリはタイプC(通常のカラープリント)プリントだけのものと
・ドローイングと写真のペア。
・ドローイング単独

・京都はライトジェットプリントという高品位のデジタルプリントで比較的大型のプリント。

・1969-71年のダイトランスファープリントが7点

という構成。エグルストンの写真は被写体に何かの意味があって撮影しているのではなく、プリントにしたとき、印画紙にべったり(アメリカ南部の色のパレットを駆使し)載ってくる色を意識的に構成して、色そのものがもつグロテスクさが、アメリカのある時代とその地域性を示す力をもっています。

それに対してパリ・京都のシリーズではどうでしょうか。パリのシリーズでは中間色の淡い色、京都では文字をグラフィカルに構成、元々メンフィスでやっていたことをパリや京都でやってみようというのが発注として無理があったことは想像できます。

彼の写真の中で重要な要素、血のようなべっとりした赤が看板の地に使われています

ただし、さすがのエグルストンで、そんなパリと京都の写真でもフレーム(枠)に対して街にあるもの全て-ゴミでも傘立ても、忘れ物も、チラシも看板もすべて*1 "Democratic”に構成する力はまさにウィリアムエグルストンの真骨頂。

これまで包括的な個展がなされたことのない日本においては、今回の展示は異例。とても貴重な機会です。ただし、まずはWilliam Eggleston's GuideLos Alamos: Los Alamos DEMOCRATIC FORESTといった彼の生涯の作品を代表する作品がみてみたかったのも事実。おそらく大人の事情もあるのでしょう。今後まとまって彼の作品をみれるのはいつになることでしょうか。

この後、ウィリアム・エグルストンのパリのシリーズは9月11日からHasselblad Foundationに移動して展示される。

それにしても原美術館は、相変わらず静かな環境の中、また足を運びたくなる空間でした。

*1:エグルストン彼自身の視線のアティテュードを最もよく示す有名なDemocratic Forestに収録された文章 Afterward from The Democratic Forest
William Eggleston in Conversation with Mark Holborn


6.07.2010

reGeneration 2 Tomorrow's Photographers Today

(C)Thames & Hudson

2005年からスイス・ローザンヌのMusee de l'Elyseeは、120のアートスクールから次世代を担うアーティストを選出しています。そんな国際的に注目を集めるコンペティション "reGeneration 2"

その展覧会が6月19日からMusee de l'Elyseeで開催されます。1回目のコンペティションでは、日本から東京工芸大学に在籍していた大和田良氏と、ニュージランドの学校に在籍していたShigeru Takato氏が選出されました。今回はTokyo College of Photography 東京綜合写真専門学校から高崎恵(Takasaki Megumu)氏が選出されています。

そのほか2009年度の選出されたリストはこちら(pdf)

Amazon.co.jp : ReGeneration 2: Tomorrow's Photographers Today
ReGeneration: 50 Photographers of Tomorrow, 2005-2025
現代写真論

5.21.2010

”William Eggleston: Democratic Camera”LACMA 10月 ”ウィリアム・エグルストン:パリ-京都”展 原美術館 6月



6月5日から原美術館でエグルストンの個展:”ウィリアム・エグルストン:パリ-京都”展が開催されます。

会期:2010年6月5日-8月22日
出品予定作品としてパリ102点(うち写真70点、ドローイング32点)京都から32点、ウィリアム・エグルストン・ガイドから7点、出品点数は変更の可能性がありますとのこと。(原美術館のウェブより)

京都もパリも、この生粋のメンフィス生まれの写真家のホームグラウンドから遠く離れているため、メインワークではないがそれなりに楽しめそう。ただ、ここはウィリアム・エグルストン・ガイドからのプリント7点(おそらくこってり色の乗っかったダイトランスファーによるもの)を楽しみにしたいと思います。

(C)Whitney Museum of American Art

LACMA(Los Angeles County Museum of Art)に於いて今年の10月には”William Eggleston: Democratic Camera, Photographs and Video, 1961-2008” -先だってWhitney Museum of American Artで開催されたウィリアムエグルストンの大規模な回顧展が巡回。

アメリカでは2008年からRobert Frank以降を代表するアメリカ人二人Garry WinograndとLee Friedlanderの回顧展が続き、写真史に沿って今度はエグルストンということでアメリカの写真史を検証する作業、また教育として写真史を順番になぞっていく企画が意図されているようにみえます。

熱狂的なファンは10月にロスアンジェルスへ。

Amazon.co.jp : William Eggleston: Paris
William Eggleston's Guide
William Eggleston 2 1/4

どうしても世界の写真史をなぞるときに、世界中からモノや人が集まって作られてきたアメリカの写真史を基にしてたどっていくことで流れが見やすくなることは事実。日本の写真史も多かれ少なかれ(Provokeのような例外もありながら)世界からの影響を見て取れる為、このブログではアメリカの1950年代から1990年くらいまでの写真家の話が多くなっています。

ただ確実に変わりつつあるのが、アメリカという地理的なものに拠らなくても多様な作品がこの数年で見ることができるようになったということ、制作のスタイルもさらに多様になったことで、2040年頃に2010年を振り返った時、アートとしての写真、また変貌し始めているドキュメンタリ写真の作品が全体としても個別としてもどんな姿をしているのかひとつ楽しみをもちはじめています。

5.13.2010

2010.5.13-7.10 : 川田喜久治 Kikuji Kawada 「ワールズ・エンド World’s End 2008 - 2010」 PGI

(C)岩波書店

東京・田町のPhoto Gallery Internationalでは、写真家・川田喜久治氏の写真展「ワールズ・エンド World’s End 2008 - 2010」が13日から。

2010.5.13-7.10 : 川田喜久治 「ワールズ・エンド World’s End 2008 - 2010」

日本の20世紀の写真史において重要な作品として必ず挙げられるのが東松照明氏の『〈11時02分〉NAGASAKI』 細江英公氏の『薔薇刑』そして川田喜久治氏の『地図』と言われている。(また、その装丁を担当した杉浦康平氏、横尾忠則氏によって写真集が単なる本を超えたオブジェとしての価値をもつこととなった)

(C)赤々舎


川田氏については、私も『地図』が画期的な写真集ということを聞いていたのだが、なにしろ本が絶版で非常に高価。またそのほかの作品集も再版されることは一度もなく目に触れる機会すらなかった。ところが数年前月曜社版の『地図』が1000部限定で発売。その後は、写真集『世界劇場 The Globe Theater』や『ラスト・コスモロジー』を閲覧したり、展示を見るようにしてきた。

ニコン チャンネル ; 川田 喜久治
デジカメWATCH:川田喜久治作品展「遠い場所の記憶:メモワール1951-1966」



川田喜久治 - Wikipedia
yasufumi terui: 川田喜久治
galerie camera obscura:Kikuji Kawada(pdf)
風の旅人〜放浪のすすめ〜: 戦後日本社会を疾走し続ける写真家 川田喜久治 
kikuji kawada | Tumblr
Kikuji Kawada : ‘Chizu – The Map’ Series (Photography Book) « Azurebumble
Conscientious | Review: Chizu (The Map) by Kikuji Kawada
phot(o)lia | The Map (Chizu). Kikuji Kawada.

Amazon.co.jp : 日本の写真家〈33〉川田喜久治
地図 - 川田喜久治写真集
Map
日本写真集史 1956-1986

5.07.2010

Osamu James Nakagawa オサム ジェームス 中川 ギャラリー冬青”リメインズ -残-2001-2009” 大阪ニコンサロン"BANTA"

ギャラリー冬青でなにをやってるのか見ると細江賢治写真展「瞬間的決定」1982~ "My Moments"が5月29日まで。

そして6月からはオサム ジェームス 中川写真展 ”リメインズ -残-2001-2009”とある。珍しい名前なので名前を聞いた記憶があるのだが、どんな写真家なのだろうかと少し調べて見ることにした。

ギャラリー冬青:オサム ジェームス 中川写真展 ”リメインズ -残-2001-2009”

Osamu James Nakagawa Official
ニコンサロン:Juna21 10周年記念展
Osamu James Nakagawa - John Simon Guggenheim Memorial Foundation
MoCP: Osamu James Nakagawa(b.1962; resides Bloomington, IN)
Ma -between the past- 過去の合間

バイオグラフィーによるとOsamu James Nakagawa氏は1962年東京生まれ。15歳の時にテキサス州・ヒューストンへ。アートの学士、修士号を取得。現在インディアナ大学でAssociate Professorとして在籍しているとのこと。(詳細な経歴 nakagawa_japanese.pdf)

モチーフと手法、そしてアーティスト自身が一体となった作品制作とはこういった作品群を示すのだと改めて勉強になった。”BANTA”のシリーズの作品集があるとのことですがアマゾンなどネットでは今のところ見つからなかった。



と思ったところ沖縄の言事堂という書店で扱いがあるようだ。
オサム・ジェームス・中川『BANTA』入荷しました

4.27.2010

Starburst: Color Photography in America 1970-1980 カラー写真回顧

(C)Hatje Cantz

Jan Groover, Joel Meyerowitz, Stephen Shore, William Eggleston, Mitch Epstein などの作品が収録されたカタログ。なぜ今、カラー写真を回顧するのか。昨年アメリカの美術館でLee FriedlanderGarry Winogrand の再検証がなされNew Topographicsの次に広義のカラー写真表現の検証ということでしょうか。

Cincinnati Art Museum | Starburst: Color Photography in America ...
Citybeat.com : Starburst (Review)
The Black Harbor || STARBURST!


(C)Hatje Cantz

日本ではこの展示を見ることができませんが、カタログは入手可能。光沢のある紙に図版も多く掲載されていて、なかなかいい本です。

Starburst: Color Photography in America, 1970-1980

Amazon.co.jp : Starburst: Color Photography in America 1970-1980
The Dusseldorf School of Photography
William Eggleston's Guide

4.26.2010

金沢21世紀美術館 ホンマタカシ展 2011年1月8日(土)~2011年3月21日(月)

(C)毛塚合紙所

秋がきて冬になって新年を迎えて早々金沢でホンマ氏の写真展とのことです。

via:http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=19&d=856

金沢21世紀美術館 ホンマタカシ展

期間:
2011年1月8日(土)~2011年3月21日(月)
10:00〜18:00 (金・土曜日は20:00まで) 会場:
金沢21世紀美術館 料金:
<当日>
一般=1,000円
大学生・65歳以上=800円
小中高校生=400円

<前売・団体>
一般=800円
大学生=600円
小中高校生=300円

4.12.2010

Henri Cartier-Bresson: The Modern Century

(C)Museum of Modern Art

NYCのMoMAではブレッソンの回顧展。かなり点数が多い模様。展覧会のサイトも見やすくよく出来ています。

いつもの展覧会のタイミングで出版されるカタログも発売予定。400ページ弱あるかなり分厚い本。
Amazon:Henri Cartier-Bresson: The Modern Century

4.11.2010

企画展「渋沢栄一とアルベール・カーン」 5月5日まで王子の飛鳥山公園内の史料館にて



東京王子の飛鳥山公園内の渋沢史料館では、企画展「渋沢栄一とアルベール・カーン

20世紀初めに世界60各国で撮影された写真が見れるということでさっそくいってみたいと思います。入口では"Bonjour"と挨拶することをお忘れなく。入場料300円が240円になります。

古写真は、時間が経っていて我々が知っている風景の過去の姿が見れるだけでなく、記録として貴重な感材を使って撮影されているだけあって、その構図はよく考えられており、一度見始めるとやみつきになります。5月5日まで。

4.06.2010

日本で初開催!原美術館 「ウィリアム エグルストン:京都-パリ」 2010年6月5日-8月22日 William Eggleston

(C)hara museum

原美術館で「ウィリアム エグルストン:京都-パリ」2010年6月5日[土]-8月22日[日]の期間に開催。
(via:ART iT:ウィリアム エグルストン:京都-パリ)

最近では東京写真美術館のアメリカ展で一枚展示されていたくらいで (Elvisと鏡のやつ)日本ではとても珍しい(日本では初個展とのこと)ウィリアムエグルストンの写真展が開催されています。人気のある写真家、そして初の展覧会ということなので大変な話題となることでしょう。

このブログでも以前いくつかエグルストンについて書いています。

Related Posts on "p.a.r.k."
エグルストン(William Eggleston)がデニスホッパー(Dennis Hopper)とLos Alamos制作時に旅行していた話

William Eggleston 今買える写真集のまとめ ウィリアム・エグルストン he is at war with the obvious.

ウィリアムエグルストンとアルバムジャケットとビッグスターWilliam Eggleston Album Cover Big Star

どれも絶版になりつつあり、今、まともな価格で買える写真集がこの三冊。メンフィスを本拠地とする彼だから、Parisは他の写真集も何冊かもっている方向き。珍しいドローイングも収録されています。真ん中の通称”Guide”は代表作であり伝説のデビュー作。初めに所有するなら間違いなくこれでしょう。以前は高かったのですが重版分なのか随分手に入れやすくなりました。ツー・クゥオーター(2 1/4)は装丁の美しい本、印刷はまずまず。ライカを使っている彼には珍しくスクエア(正方形)の画面比率で、これも人気の本です。



個人的には、エグルストン自身のマニフェストといえる後書きが興味深いDEMOCRATIC FORESTと掲載されている写真の内容が幅広く内容もいいLos Alamos: Los Alamosがお勧めです。古書などでみつけたらぜひ手に入れてみてください。

ライカ銀座店サロン - I'm One: 21st Century Mods by Horst A. Friedrichs

(C)Prestel Pub

2010/04/09 - 2010/06/13 ライカ銀座サロンではフランクフルト生まれ Horst A. Friedrichs I'm One: 21st Century Mods展が開催されます。

Cool hunting:Interview with Photographer Horst A. Friedrichs
ライカ銀座サロン: Horst A. Friedrichs I'm One: 21st Century Mods
Anzenberger Gallery - I'm One

Amazon:I'm One: 21st Century Mods

MODSですか!てなもんで。すっかり見かけなくなりましたが、またいつかリバイバルする要素を沢山もつユースカルチャーです。

3.21.2010

3月27日(土) から東京写真美術館 ジャンルー・シーフと写真の教科書"Indiscretions"

(C)Steidl

ついこの前まで正月や節分だと思っていたのに、あっという間に気づくと三月末。まだまだ先だと思っていた、ジャンルー・シーフ写真展 ”Unseen & Best works”が3月27日から。

フランス・パリ生まれのポーランド系フランス人で、一時期報道写真も撮影していてマグナムにも参加していたと言われるジャンルー・シーフは、ヨーロッパを代表するファッション写真の草分けとも。広角レンズを使ってゆがませながら被写体に迫り、手前の前景と中景、背景をうまく使ったモノクロの写真の印象が私には強いです。

Wikipedia:
ジャンルー・シーフ Official
Curators:Jeanloup Sieff

上のオフィシャルサイトを見ると、ルポルタージュとして撮影していた初期の作品から、ポートレート、風景写真、ヌードと、どれもバランスが良く、非凡な才能だったということがよくわかります。

そして4月には作品集が刊行予定とのこと。左のは表紙が同じものが過去に出版されているので価格が下げられて再版。整理されたネガから発掘された未発表作品が掲載されているのは真ん中のです。

例によって親切なSteidlの紹介ページから。
http://www.steidlville.com/books/560-Les-indiscr-tes.html



あとあまり知られていないことですが後藤久美子の写真集も過去にジャンルーは撮っていて、細江英公氏の”鎌鼬”を髣髴とさせるようなカットもありアイドルの写真集としては非常にユニーク。エキゾチックな後藤久美子の写真は新鮮でした。

Amazon.co.jp : Jeanloup Sieff: 40 Years of Photography / 40 Jahre Fotografie / 40 Ans De Photographie (25)
Jeanloup Sieff: 40 Years of Photography / 40 Jahre Fotografie / 40 Ans De Photographie (25)
I HAD A DREAM 後藤久美子写真集

3.20.2010

Marina Abramović: The Artist Is Present マリーナ・アブラモビッチ MoMAでのパフォーマンス

ユーゴスラヴィアの芸術家 マリーナ・アブラモビッチのパフォーマンスが三月いっぱいMoMAで。身体への意識を極限まで集中し、また身体を通して表現するマリーナ・アブラモビッチの作品は重いボディブローのように効きますが、現在開催中のパフォーマンスは沈黙。来場者と一対一で見つめあうというもの。

ヴェリタ:MoMAでマリーナ・アブラモビッチが肉体の限界に挑む




現在の様子のライブビデオ:The Artist Is Present



イギリスのTateギャラリーのインタビュー。

MoMA:Marina Abramović: The Artist Is Present
March 14–May 31, 2010
Wikipedia:Marina Abramović

パフォーマンスアートや舞踏といった身体を使った芸術を見るときに圧倒されながら、あちらには行けない、引っ張られまいと見る立場であることを意識してストップをかけることってありませんか?

3.16.2010

Centre Pompidou Takeshi Kitano, l'iconoclaste 北野"BEAT"武 映画回顧 ポンピドゥーセンター

ルシアン・フロイド 展開催中のフランス・パリのポンピドゥーセンターは実は図書館も映画館も充実しています。



最近日本の映画監督・漫才師の北野"BEAT"武さんがフランスの文化勲章を受章しましたが、それにあわせて三月初めから六月末まで長期に渡って彼の関連作品を網羅する"Takeshi Kitano, l'iconoclaste"と題された特別上映が開催中です。

フランスからプログラムが送られてきたのでそれに沿って少し紹介します。表紙はソラチネ




監督作品はもちろんのこと、出演したドラマまで全て網羅されています。作品を集めて上映するまで字幕をつけ、権利的なことも含めてなんだかんだ大変でしょうが、国として文化にかけている予算、ヨーロッパの文化の中心地であること、またそれでお金と人を呼び寄せ影響力を行使し続けようとする気概、そんなことをこのプログラムから感じます。



もちろん元祖「座頭市」勝新の映画もリフェランスとして上映。北野氏がフランスでの体験としてテレビで語っていたことで、本当に自分の作品が多くの人に愛されていることを肌で感じたと喜んでいたのが印象的でした。

日本人では過去に森山大道氏、荒木経惟氏、村上隆氏などが個展を開催したカルティエ財団では、やりたい放題やっている展覧会が開催中。映画監督・コメディアンという肩書きで、芸術に対してどんな批評性を作品にもたせるか、また具体的にどんなアプローチをとるのかなど、そんなくだらないことをつい期待してしまう美術館という箱ですが、そこでもマイペースに楽しめる場所を作ったということやはりビートたけしらしく、そんなことがウェブページを開いてわかります。


Amazon.co.jp : Gosse de peintre / 絵描き小僧
超思考 (幻冬舎文庫)

2.18.2010

"Mirrors and Windows": American Photography Since 1960"(MOMA) by John Szarkowski シャーカフスキーの『鏡と窓』


(C)Little Brown & Co

先日横浜美術館にいった際に、シャーカフスキーのキュレーションしたかの有名な展覧会のカタログ”Mirrors and Windows: American Photography Since 1960” が図書館にあるのを見つけました。(このカタログの現物をみていなかったにも関わらず、この展覧会について述べられた文章を通してもっていた固定概念による)私がもっていた印象とは異なり実に様々な写真が取り上げられていることに驚き、さっそく古書をみつけ注文。



カタログに収録されている(展示された)写真は、ダイアン・アーバスやデュアン・マイケルズといった鏡(自らの内面を知るためにカメラを使う志向)を代表する写真家、そしてリー・フリードランダーやロバート・アダムス、ゲイリー・ウィノグランドといった窓(カメラを外の世界を見るための手段として使う)を代表する写真家による写真が収められているとよく見る前には思っていたのだが、そういった単純な区分けではなくどちらがどちらとも言えない写真も多く、モチーフや手法も多種多様。

デュアン・マイケルズの寓話的でユーモアのあるシーケンスで組んだ作品もあれば、美術家のロバート・ラウシェンバーグのコラージュ、ウォーホールのシルクスクリーンの作品。写真家もリチャード・ミズラックの初期の作品、リンダ・コナーに、エリオット・アーウィットとウィノグランドが隣り合わせ。前書きでシャーカフスキーが述べているように、この展覧会は”写真家”の展覧会ではなく”写真”についての展示だということがわかります。






どの写真史の本でも1章は割り当てられている 『鏡と窓』の項を読んでずっとわかったつもりでいたのですが、やっぱり自分で原本にあたってみないと思い違いしているというのが現時点での感想。

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その後シャーカフスキーによるプロローグを読むと、この "Mirrors and Windows" 展、またアメリカの1960年代における写真がどんな状況だったのか臨場感をもって知ることができる。

50年代はグラフ雑誌が写真家の活躍の舞台だったが、60年代に入って写真家が発表する手段として書籍や展示という選択肢がてできた。グラフ雑誌の衰退の理由として、テレビの普及、安い航空券が手に入るようになった(海外旅行を通して直接外国を知ることできる)ことがその要因として挙げられ、大衆(読者)のエキゾシズムを写真はもはや喚起できなくなった。さらにベトナム戦争は”こと”が大きすぎて、どの写真もこの戦争は一体何なのか.....その説明の役割を果たす能力を欠いていた。つまりアメリカ人にとってあの戦争は政治的、軍事的、倫理的な意味より、むしろ心理的な問題としての意味をもっていた。その心理的なインパクト、そのショックを思い起こさせたのが(報道写真ではなく)ダイアンアーバスの写真だったというわけだ。絵画ではなく写真を学ぶ学生が増え、また前世代の職人的な写真家(例えばアンセル・アダムス)から、写真学生の関心は制作(craft)ではなく中身(content)へとゆるやかに移って行った。...などなど(つづく)
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どの写真家が窓か鏡かという話ではなく、1960年以降の写真にみられる、自己表現の手段として (a means of self-expression)の写真、もうひとつが探求の方法 (a method of exploration)として写真、そんな写真としてのメディアの可能性が拡大したことを宣言することを意図して企画された展覧会がこの"Mirrors and Windows"だったとみてとれる。

ちなみにこのカタログは絶版。マーケットプレースではまだ買えそうです。ペーパーバックで印刷も展覧会当時の出版なので良くはありません。もちろん横浜美術館の図書館などでも閲覧可能。

他に John Szarkowski の編集した本で入手しやすい本 The Photographer's Eyeも写真を学ぶ人がまず初めに手にする本でお勧めです。(テキストは英語ですが文字数はあまりないのでトライしてみてください)

書肆小笠原:6277 Szarkowski, John[ed.] (ジョン・シャーカフスキー編)
TIME.com:Art: Mirrors and Windows
The Highlights,Reframing Mirrors and Windows, Farrah Karapetian

Amazon.co.jp :Mirrors and Windows: American Photography Since 1960. Catalog of Exhibition Held Museum of Modern Art, July 26-October 2, 1978
The Photographer's Eye
現代写真論
写真の読み方: 初期から現代までの世界の大写真家67人

2.10.2010

広島市現代美術館 10/04/16 【ウィリアム・ケントリッジによるレクチャー/パフォーマンス】

話題のケントリッジ東京巡回展は2月14日まで。続いて2010年3月13日(土)~5月9日(日)に広島市現代美術館に巡回展。こちらウィリアム・ケントリッジによるパフォーマンスがあるとのことで備忘録として。

関連プログラム(広島市現代美術館のウェブより転載
●2010年4月16日(金)19:00-20:00(18:30開場) 
【ウィリアム・ケントリッジによる レクチャー/パフォーマンス】
「I am not me, the horse is not mine」
<ケントリッジ来広!展示とともに必見のパフォーマンス>
自作テキストの朗読と、ケントリッジが登場する映像と本人が共演するパフォーマンスを、ミックスしたステージ。

会場:広島市南区民文化センター  3階ホール 
(広島市南区比治山本町 16-27 広島産業文化センター内)
[定員] 500名 入場無料
※英語(日本語字幕付き)
※満席の場合、入場できないことがあります。ご了承ください。
主催・お問い合わせ:広島市現代美術館


William Kentridge: Five Themes - ウィリアム・ケントリッジ DVD付きカタログ

2.05.2010

ロンドンのNational Portrait GalleyではIrving Penn Portraits展が開催

(C)Harry N Abrams

2月18日から6月6日まで昨年亡くなった写真家アーヴィンペンのポートレートを中心とした写真展が開催。
National Portrait Galley:Irving Penn Portraits

勿論今のところロンドンに行く予定はありませんが、カタログが発売されるとのこと。
Irving Penn Portraits

また同じNational Portrait Galleyでは写真関連の賞”Taylor Wessing Photographic Portrait Prize”が2月14日まで開催されています。

勿論14日までロンドンに行く予定はありません。

1.20.2010

New Topographics ニュー・トポグラフィックスの写真家 LACMA

 
New Topographics from mike m on Vimeo. (LACMAの展覧会のコマーシャル映像)


70年代の写真の重要な潮流のひとつ、ニュー・トポグラフィックスを回顧する New Topographics: Photographs of a Man-Altered Landscape  展がアメリカ・ロサンゼルスのLACMA開かれました。写真史に必ずといってでてくる"New Topographics"というタームですが、ネット上にあるソースを見ながら少し勉強してみたいと思います。

ニューヨークのローチェスターにあるGeorge Eastman HouseでアシスタントキュレーターをしていたWilliam Jenkins がアーティストとコラボレーションという形でキュレーションを担当。9人の写真家が参加した展覧会が "New Topographics"展(1975)です。

8人のアメリカ人- Robert Adams, Lewis Baltz, Joe Deal,Frank Gohlke, Nicholas Nixon, John Schott, Stephen Shore, Henry Wessel Jr.  そしてデュセッルドルフ芸術大学で教えていたドイツ人夫妻 Bernd and Hilla Becher の合計9人のアーティスト/写真家が参加しました。


 
NEW TOPOGRAPHICS: Landscape Photography Then and Now from AIPAD
  上の動画はAIPADというニューヨークのフェアでのレクチャーの様子当時はそれほど注目されずに終わった
展示だったそうです。40分過ぎたくらいから参加したアーティストのひとりFrank Gohlke
ニュートポグラフィックという展示がどういうものだったか当時の状況を話しています。
Frank Gohlke の飄々としながら話される当時現場にいた本人ならではの言葉が印象的です。


この展覧会のポイントを英語のウィキペディアなどオンライン上のソース(不確かな部分もあることを承知の上で)を参照しながらまとめてみました。

1.一人につき10点ずつ出展。大型のヴューカメラを使っている写真家が多くを占めた。
2.キュレーターのWilliam Jenkins がこの展覧会の基調として、1960年代前半に本を使って写真作品を多数制作したアーティスト Edward Ruscha(エドワード・ルシェ)に言及した上で"a problem of style:"(スタイルの問題) "stylistic anonymity"("匿名性"というスタイル)というキーワードを掲げた。

次の一文がこの展覧会の特徴をよく言い表しています。


"それらの(展示された)写真はアーティスティックな”お飾り”(フリル)が取り払われ
トポグラフィックな位相までそぎ落とされ、視覚的な情報を伝えながらも、
だがしかし、美や感情や意見といったものは完全に除外されている。"

"The pictures were stripped of any artistic frills and reduced to an essentially topographic state, conveying substantial amounts of visual information but eschewing entirely the aspects of beauty, emotion and opinion,."


3.アンセル・アダムスやマイナー・ホワイトのように職人的、独学による写真家に対して、教職者や学校で(芸術の)専門教育を受けた(または、のちに受けた)写真家であったこと。
4.特にアダムス、ボルツ、ディール(Joe Deal)の作品に顕著であるように、アメリカの社会に対してアイロニック(皮肉)であり、批評的な視点であること


この展覧会は「写真を使ってこんなことが出来る」というひとつのモデルとなり、コンセプトやスタイルは、 直接的、間接的に現在もなお世界中の数多くの写真家に影響を与えています。(日本では柴田敏雄氏の初期作品にNew Topographicsからの強い影響が見られます。



展覧会に際して作られたカタログは、なかなかの厚さ(3センチ)でハードカバーのしっかりした作り。紙も印刷も素晴らしく、また75年の展覧会当時の資料も豊富。通してみるとアメリカ人アーティスト Edward Ruscha(エドワード・ルシェ)の一連の自作のアートブックに大きく触発されたのは明らかで、現代美術史とあわせてみるとこの出来事の理解が深まります。

また今なぜ ”New Topographics”かというのは、私の主観ですが、これまた一連のベッヒャーの生徒(Düsseldorfer Photoschule もしくは Becher-Schule) アンドレアス・グルスキー、トーマス・シュトゥルート トーマス・ルフたちが2000年代に大きな注目を集め写真史を引っ張ってきたのに対して、「もともとこれらのアーティストに影響を与えたのはアメリカの展覧会だぜ」とようやくアメリカ人が気付いた、ドイツ人に気付かされて再評価にいたったというのが実際のところかなと考えます。

また日本であまりにも 「ニュー・トポグラフィックス」についての情報が見られなかったのも、それほど70年代当時の展覧会がアメリカでも話題とならず(そもそも写真作品がアートして取引もされていなかった)に、日本にまで情報が入ってこなかったということもあるかもしれませんが、川崎市民ミュージアムに巡回した1992年「ルイス・ボルツ展「法則」」の時にNew Topographics はどのように日本に紹介されたのか興味深いところです。

この回顧展はサンフランシスコ、オーストリア、ドイツ、オランダを終えて、スペインのビルバオに行きます。各地の展覧会で観衆にインスピレーションを与えていることでしょう。

Dwell:New Topographics at the SFMoMA (スライドショウ)
New Topographics: Photos of a Man-Altered Landscape
New Topographics - Wikipedia, the free encyclopedia
New Topographics - LACMA Home
UNFRAMED : Renewed Topographics (ルイスボルツの撮影した建物のその後の様子)

p.a.r.k: Photobook History 世界のフォトブック通史(写真集の本) 
Contemporary Photographers Toward A Social Landscape Nathan Lyon (1966)
To Make It Home: Photographs of the American West ロバート・アダムス
The History of Photography : ボーモントニューホール 写真史テキストの草分け
現代写真論 (晶文社) シャーロット・コットン (著) Charlotte Cotton

Amazon.co.jp : New Topographics
The Prototype Works
The New West: Landscapes Along the Colorado Front Range
Lewis Baltz Works
American Photography (Oxford History of Art)
Joe Deal: Southern California Photographs, 1976-86

1.16.2010

資料としてのポーズ写真集 - 雪の結晶・エドワード・マイブリッジとアニメーション Eadweard Muybridge FUJIFILM SQUARE


写真史にも映画史にも顔を出す20世紀初頭のイギリス人の写真家・エドワード・マイブリッジ(Eadweard Muybridge)。写真が科学の探究と大きく結びつき技術革新と両輪になって今のデジタル写真革命と同じようにぐんぐん進化していた時代の話。目では追いつかない高速シャッター、機会の目が見せた世界の発見でもありました。

そんなマイブリッジですが、アマゾンのレビューを見てみるとイラストレーターに重宝されるポーズ集としても評価されていました。100年以上も前の写真で、かつ元々は賭けのネタとして撮影された写真が別の用途で、ひょっとしてアニメーションの作画の資料として使われているならば、マイブリッジの連続写真→映画の登場→アニメーションという脈々と続く二次元の映像史の長い大河が開けます。

(C)Eadweard Muybridge


なお3月末まで写真歴史博物館『最古の写真撮影作品集展』ということでFUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)にてE.マイブリッジ 連続分解写真集「動物の運動」(1887年)の複写が見ることができるとのことです。

富士フィルム:「FUJIFILM PHOTO MUSEUM」写真歴史博物館『最古の写真撮影作品集展』

Amazon.co.jp : Animals in Motion (Dover Anatomy for Artists)
The Human Figure in Motion (Dover Anatomy for Artists)
Facial Expressions: A Visual Reference for Artists
Snowflakes in Photographs (Dover Pictorial Archive)